「世界で最も価値のある硬貨」その値段は……
どの世界でも、「金」というのは価値のあるもの。
かつては硬貨としても使われていたわけだが、それらが骨董品となった今では、金貨1枚に信じられないほどの価値・値段がつけられることもある。
では、「世界でもっとも価値のあるコイン」とは、一体どのようなものなのだろうか。そして、いったい幾らになるのか。
その答えは今、ギリシャに在る。というよりも“ようやく”ギリシャが取り返した、といったところか。
先月、不法に持ち出され失われていた“世界でもっとも価値が高く、希少なコイン”こと「Eid Mar(またはIdes of March)」が、ギリシャへと返還されたのだ。
このコインは、古代ローマ帝国で使われていた銀貨「デナリウス」のレアバージョン。
紀元前42年にユリウス・カエサルの暗殺を記念して造られたもので、暗殺の際に最初の致命傷を与えたマルクス・ユニウス・ブルトゥス(ブルータス)の顔が刻印されている。
『New York Times』によると、コインは10年以上前にギリシャから不法に海外へと持ち去られ、偽の証明書付きでオークションに出品。落札額はなんと420万ドル(5億6000万円相当)を超え、コイン1枚の値段としては史上最高額となったという。
金貨1枚に5億円超え……さすがに予想を超えたのではないだろうか。
その後、オークションのマネージャーが重窃盗罪、盗品犯罪所持罪、陰謀罪などで起訴。落札した米国人の億万長者(身元非公開)も保持を諦め、コインは捜査当局に引き渡されたそう。
ちなみに、Eid Marが希少とされているのは、古代の記念品であるだけでなく、金で鋳造されたものが現在わずか3枚しか確認されていないから。
そもそもは「金銭」であったものにこれだけの値段が付くというのは驚きだが、それだけアンティークとしての価値が高いのも頷ける。
なお、これの他に28品の骨董品がギリシャへ返還されたそう。在る物を、在るべき場所へ。国際化が極限になった今でこそ、必要な理念かも知れない。
アフリカやアジアなど、植民地時代にヨーロッパに奪われた物も返ってくることを願たい。