「代替コンクリート」の時代、来る。
建築活動は世界の年間CO2排出量の約40%を生み出しているということをご存知だろうか。
パリ協定での「世界平均気温の上昇を1.5℃に抑える」という目標があるにもかかわらず、現状だと2060年までに世界の建築物の床面積は2倍になると推定されている。
そのため、近年カーボンニュートラルなコンクリートやレンガの代替素材が解決策として期待されている。これまでにも、プラスチックゴミをリサイクルしてつくられたレンガや貝殻を使ったコンクリートと同等の強度を持つタイルを紹介してきたTABI LABO。
今回、イースト・ロンドン大学の研究チームによって新たに開発されたのは……「シュガークリート」だ。
シュガークリートがつくりだす
サステナビリティ
「バガス」と呼ばれる、砂糖の樹液を抽出した後に残るサトウキビの繊維を、独自に製作した砂やミネラル化合物と混合してつくられた代替コンクリート。
じつはサトウキビ、世界最大の生産量を誇る作物で年間約20億トンが生産されるそうだ。同時に副産物として6億トンのバガスも発生、製糖工場の機械稼働エネルギーとして利用されているものの、余剰分は廃棄されている。
シュガークリートをはじめとするバイオ廃棄物を活用した製品を従来のレンガ・コンクリート産業と代替することで、世界のCO2生産量の3%に相当する1兆800億トンのCO2を可能性があるというわけだ。
また、シュガークリートはコンクリート製造に比べ、最大28日間かかる硬化時間が1週間に短縮され、コンクリートブロックよりも4〜5倍軽く、CO2排出量だけでなく、コストも大幅に削減できると証明されているらしい。
シュガークリート、今後どうなる!?
研究チームによると、砂糖の主な生産地である南半球でシュガークリートを活用できる機会を模索中だという。現地NGOによる協力のもと、プロトタイプをテストする予定。
次のステップでは、シュガークリートに使われたバガスのような作物から出る副産物を活用したバイオクリートの世界的展開を可能にするデジタルツールの開発も予定されているとのこと。
これをきっかけに、コンクリート代替素材の開発がさらに加速することを期待したい。