タンパク質が「がんや発達障害」の原因だった……?
フィットネスブームが続く昨今、日々筋トレをする人にとって、タンパク質は多めに摂取したいところ。
そんなタンパク質には、実は科学者たちが見逃していた重大な要素が。最近の研究にて、生命の定義を揺るがすほどの性質が新たに発見された。
Intrinsically Disordered Regions(天然変性領域)、通称「IDRs」と呼ばれる領域だ。
IDRsとは?
これまで、タンパク質は安定した立方体のような形状を作り上げ、パズルのように他の生体分子と組み合わさって生命活動を支える役割を果たすと考えられてきた。
IDRsとは、近年の研究で発見された「固定された形状を持たずに変形する」という特性を持つ、上記のタンパク質の性質と異なるパーツのこと。
タンパク質の半数ほどを占めているものの、変形するので他の生体分子と合致できず、重要な機能は持たないとして、しばらくは軽視されていたのだが、国際共同研究チームの最新論文よってこの説は逆転。
IDRsは、むしろ細胞生物の重要な機能を担っていることが明らかになった。
明らかになった、IDRsの重大な役割
結論から言うと、IDRsは細胞内の遺伝子の働きを調整する役割を持っていたことが明らかになった。
研究チームは、IDRsのうち、細胞内のDNA構造や遺伝子の働きを調整する役割を果たす「cBAF」という複合体に着目。cBAFの部分であるARID1AとARID1Bについての研究を進めた結果、IDRsはクロマチンの調整や遺伝子の発現など、全ての細胞における重要プロセスで中心的な役割を果たしていたことが判明した。
そしてこの発見は、IDRsがガンや神経発達障害に関与することを示唆しており、以前考えられていたよりも格段に重要だったことを意味するのだ。
そして、IDRsは私たちの
未来への扉を開く
IDRsの新たな機能の発見は、がん治療を大きく進める可能性を秘めているだけでなく、あらゆる生命体の存在と基本的な機能について新しい視点をもたらすかもしれない。医療にとどまらず、科学界全体から大きな注目を浴びているようだ。
我々が理解している「生命」の定義や、科学者たちが探求してきた生命のシステムに対する理解を大きく塗り替える可能性すらある。
IDRsはすべての生命体に共通する完全な"新要素"であり、私たちに対して具体的にどのような影響を及ぼすかはまだ分かっていない。
それを理解した時、それはきっと、私たちの「生命への理解」を大幅に深めることになるはずだ。
タンパク質には体外から摂取するもの、そして上記でも触れた遺伝子体現というプロセスによって体内で生成するものの二つがあるようですね。今回の内容は主に後者に関する話。
日本人は慢性的にタンパク質摂取量が不足していると聞きますが、それはおそらく体外から摂取する前者のはず。しかし、それもがんや発達障害につながっているとしたら怖いですね。