ベジタリアンは健康だから長生きできるは、真?偽? 大規模調査で明らかに
健康志向のイメージが強いベジタリアン食だが、意外にも、その健康効果は定かではないのかもしれない。『Journal of Health, Population, and Nutrition』誌にて、菜食主義と死亡リスクに関する新たな研究結果が報告。
掲載されたのは、ベジタリアン食は米成人の死亡リスクに「有意な影響を与えていない」との報告だった。
これは、米国の成人117,673人を対象とし、18年間に及ぶ追跡を経た大規模な調査によるもの。対象者の食志向の内訳は以下の通り。
・99.3%が雑食
・0.3%が「ラクト」または「オボ・ベジタリアン」
・他の0.3%は「ペスコ・ベジタリアン」
・残りの0.1%はヴィーガン
なお、「ラクト・ベジタリアン」は牛乳やチーズなどの乳製品は食べる、「オボ・ベジタリアン」は卵は食べる、「ペスコ・ベジタリアン」は乳製品、卵、魚介類は食べる、といった違いがある。
死亡リスクへの影響は「ない」との結果
18年間の追跡調査の中で、39,763人の参加者が死去。
その内訳は、雑食者39,547人、ラクト・ベジタリアンおよびオボ・ベジタリアン88人、ペスコ・ベジタリアン67人、ヴィーガン61人であった。
この結果から、研究グループ間での死亡リスクには「統計的に有意な差」は認められないという判断が下った。これは、社会経済的因子、生活様式因子、併存疾患を考慮しても変わらなかったという。
ただし、この研究には留意すべき点がある。ベジタリアンまたはビーガン食の具体的な情報が欠けていることだ。
継続期間によっては、ベジタリアン食から健康上の利益を得るのに十分でない可能性があるが、本調査にはこの項目に関する言及がない。また、参加者は食事に関する2つの質問のみに基づいて菜食主義者であると報告したため、各食事グループには誤分類の可能性も否めない。
このことから、多くの科学者が、今後の研究ではベジタリアン食の継続期間を考慮して参加者からより詳しい報告を受けるよう助言している。
ベジタリアンも多種多様に拡大中
菜食主義を選択する理由は、人によって様々だ。特に多いのは、健康的な意識や環境へ配慮するため、または動物保護の観点などだそう。
しかし、ベジタリアンと一言で言っても、実際はバラエティに富んでいる。食べられるものは個人の裁量で決められ、それぞれに名前がついているのだ。
多様化する食生活が、健康、ひいては死亡率にどのような影響を及ぼすかについて、人々の関心はより一層高まっていくだろう。
数々の社会課題に紐づくトピックとしても、今後の研究結果に注目したい。