エビたちのセックスを妨げているのは、「プラスチック廃棄物」らしい【研究結果】
世界経済フォーラムは、2050年までに海は魚よりもプラスチックの方が多くなることを警告している。
そこに追い打ちをかけるように報じられたのは、海洋生態系の根幹を担う生物が「プラスチックによって性行為を妨げられている」という事実だった。
『Environment Pollution』によると、海洋に流されたプラスチック添加物が、エビのような甲殻類の性行為を邪魔しているらしい。
英国ポーツマス大学のアレックス・フォード氏が「これらの甲殻類はヨーロッパの海岸でよく見られ、魚や鳥の食事に欠かせない食べ物である」と述べるように、繁殖が妨害されれば食物連鎖に悪影響が出ることは確か。
ポーツマス大の実験では、小さな軟甲殻類の生物を対象に、プラスチックに含まれる約1万種類の添加物から特に危険性の高い4種類を使い、交尾にどのような影響をもたらすのか検証した。
その結果、4種類すべてが交尾成功率を低下させる能力を持っていたことが明らかに。
加えて、精子数の減少を引き起こす物質も発見されたことから、このような物質と普段から暮らすエビたちは、精子自体の質が下がっていることが考えられるそうだ。
プラスチック添加物による長期作用が動物の健康に影響を及ぼすこと示唆する研究は、エビだけに留まらない。
このままプラスチックが動物の生殖を妨害し続ければ、私たち自身が「6度目の大量絶滅」の一因になってしまうかも……。
Top image: © iStock.com/M-Production