「海底で過ごす週末」がやってくる

もし使いきれないほどの大金を手にして巨大なクルーザーを買うなら、波上だけでなく、海中の景色も楽しみたい。夢のまた夢のような話だが、少しだけ現実に近づいているかもしれない。

先月、デザイナーのSteve Kozloff氏が発表したのは「Deep Sea Dreamer」──その名の通り、夢にまで見た“暮らせる潜水艦”だ。

© Steve Kozloff
© Steve Kozloff

見るだけで胸が高鳴るような、ラグジュアリーで快適そうな空間。

最大で100mの深度まで潜航可能で、ガラスの床に設置されたリクライニングチェアーから、頭上から足の下まで、優雅に海中の景色を堪能できる。

さらにこの船、なんと最大で7日もの間、海底に停泊することができるという。潜水艦というより、むしろ1週間のバケーションを海底で過ごすような体験になりそうだ。

存分に大自然を楽しんだ後は、海面まで浮上すれば、デッキの上で新鮮な空気を吸える。

© Steve Kozloff

考案したSteve Kozloff氏は、1954年生まれのエンジニア。航海技師・デザイナーの父をもち、8歳から超豪華ヨットや崖の住宅などのコンセプトを描き始めていたんだとか。

こちらの「Deep Sea Dreamer」は、妻と一緒に深海を歩き回るのを夢見ていたことから名付けられたらしい。

ただし、これはまだコンセプトの段階。愛おしい夢を実現するには、推定300億円以上のコストがかかるようだ。

さて、結局のところ、海中散歩なんて夢だった訳だが、実は、以前にも似たようなコンセプトのクルーザーが発表されていた。こちらが「海上も海底も楽しめる潜水艦」であるのに対し、あちらは「潜れるクルーザー」といったところか。

ハイブリット系船舶のほか、海底居住地のデザイン企画も散見されるようになってきたし、宇宙と同様、テクノロジーの進歩によって「海中に行きたい」という願望が高まってきているのかもしれない。

一応、Deep Sea Dreamerは300億円があれば実現できるとのことなので、そのうちハイエンドなクルーザーは大海を横切るだけではなく、縦にも潜っていける時代になる可能性はある。

……潜水すれば、駐車違反の心配不要でラグジュアリーなプライベート空間が手に入るだろう(つまり、eVTOL同様に法整備の必要性が生じる)。

宇宙、ビリオネアの夢が最初に実現するのはどこなのだろうか。

Top image: © Steven Kozloff
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。