重要視されていない「眠っている火山」。実は超強力なパワーを秘めているらしい……【研究結果】
噴火の時期は、神のみぞ知る……?
長い間動きを見せない、とある火山。新たな研究によると、強力なパワーを秘めて爆発までの時を刻んでいるという。
『Contributions to Mineralogy and Petrology』掲載の論文にて、シオマドゥルというルーマニアの火山の活動調査結果が報じられた。これはヨーロッパの「活火山ではない火山」の一つで、3万年以上にわたって息を潜めているそうだ。
研究を担当したエトヴェシュ・ロラーンド大学の地球科学者によると、「100万年に及ぶこの火山の生涯の中には、10万年以上の休眠期間を経たのちに噴火が再開したこともある。」
危険性を確かめるべく、チームは高度な地質学的分析を通してシオマドゥルの火山活動サイクルにフォーカス。周辺の火山岩内部の結晶と鉱物に関して慎重な研究を行い、噴火条件や形成時期についての手がかりを求めた。
彼らの推測によると、直近の噴火時期はおよそ30,000〜56,000年前。そして、長い時間をかけたマグマの結晶性と含水量の増加が、通常噴火から“爆発的噴火”に切り替わる要因になりつつあるという。
すなわち、シオマドゥルの噴火威力はより危険かつ爆発的になっていることが警告されたのだ。
勿論、これは日本に住む私たちにとっても他人事ではない。
研究者らは、火山の規模にかかわらず噴火リスクが現代社会に及ぼす被害を懸念しており、「過小評価されがちな活火山問題を改めて危険視すべきだ」と述べている。
世界の活火山の約7%を占めている日本。豊かな自然からの恵みを享受する傍ら、その危険性も常に意識しておく必要があるだろう。
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