ポルノスターと無職。異色のカップルが説く「パートナーシップ」のあり方

「もっとこうしてくれたらいいのに」
「〇〇なんだから、こうあってほしい」
「私が〇〇しているんだから、これくらいやってよ」

相手に対してつい自分の理想や価値観を押し付けてしまう、というのは人間関係において陥りやすい悩み。とりわけ、交際相手に対しては特に、では?

よくないとは思っていても、違う人間とは分かっていても、それでも、好きだからこそ自分のワガママを受け入れてほしいと思ってしまう……。

 

もし、アナタにそういった考えが芽生えたようなときは、ここに紹介するカップルのことを思い出してみてください。ちょっと“普通じゃない”ことだけは、先に断っておきますが──。

ポルノスターの彼女と
専業主夫の彼氏
異色カップルの風変わりな日常

カナダ最大の都市トロントに暮らすWilliam ConradとLevi Coralynnは、いま話題のカップルです。というのも、ふたりの関係性がちょっと特殊なものでして……。

© levi_coralynn / TikTok

美しいレッドヘアが印象的なLeviは、成人向けサブスクリプションサービス「OnlyFans」で著名なアダルトコンテンツクリエイター。“リアル・ジェシカ・ラビット”の異名を持つ彼女の人気は桁外れで、TikTokフォロワー数はじつに240万人超え。カナダ国外にも多くのファンを抱えています。

© levi_coralynn / TikTok

いっぽうのWilliamは、現在無職。いや、Leviを支える専業主夫とご紹介した方が正しいかもしれません。もともとエンジニアとして働いていたそうですが、3年前にLeviと出会い退職を決意。今ではLeviのために手の込んだ料理をつくったり、掃除、洗濯を丁寧にこなしたり……。“stay-at-home-boyfriend”としての献身的な姿は、TikTokユーザーたちの注目の的です。

© williamconrad / TikTok

理想的?ヒモ彼氏?
物議を醸すふたりの関係性

同棲する二人の生活費は主にLeviの収入から。Leviが稼ぎ、Williamが家事をする。従来のジェンダーロールを逆転させたような二人の関係性を、「理想的」「先駆的」と羨む人がいる反面、“ヒモ彼氏”なんてワードも存在する世の中です。Williamのように働かない男性に違和感を感じる人もゼロではありません。

「パートナーからお金をもらうなんて」
「なぜ、一緒に家事をやらないの?」
「Leviはシュガーマミー(若い男性を支援することで関係性をもつ女性のこと)じゃないか」

正式な婚姻関係を結んでいないこと、そしてLeviの特殊な職業も相まってか、SNS上ではこれまで、二人について様々な意見や憶測が交わされてきました。そうした声に痺れを切らしたLevi、今年4月に1本の動画を投稿しました。この動画こそ、冒頭で「思い出してほしい」とお伝えした理由です。

まずは、以下をご覧ください。

パートナーシップのあり方とは?

© williamconrad / TikTok

TikTokにしては少し長め、2分27秒のビデオで語られていたのは、日々寄せられるコメントに対する返答、そしてカップルが考える「パートナーシップのあり方」でした。

一部、抜粋してご紹介します。

 

“私たちのパートナーシップになぜみんな興味があるのか、不思議でしょうがない。経済的な責任は私にあって、家のことはWilliamがやってくれる――それは(私たちにとって)ずっと前からのこと。どちらの役割もときには男性がしていいし、ときには女性がしたっていい。決して変なことじゃないし”

 

Williamも動画に登場します。彼は、Leviは“シュガーマミー”などではなく、家事もよく手伝ってくれることを伝えました。さらに、Leviはこう付け加えます。

 

“家事をするのも凄く好き。多分、誰かと付き合っているときって、多くの人が「あなたはこれをやるよね?」「私に何をしてくれる?」っていうマインドセットに陥りやすい。逆も然りだけど”

“でも、私たちって「私が〇〇をしたから、あなたも〇〇してくれるよね?」なんて関係性じゃないの。ただ同じゴールを見据えているだけ。「愛してる。だから私、あなたになにができるかな?」っていうね”

いかがでしょうか?

愛は“受け取るもの”ではなく、“与える”もの──。この考えを互いに持ち、相手に対して自分ができることを考えた結果、現在の関係性に行き着いたLeviとwilliam。意図的にジェンダロールをひっくり返そうとしたわけでもなく、他の人の注目を集めようとしたわけでもない。互いに「与えること」を考えていたら、相手への過度な期待も固定概念も、自然と消えていたそうですよ。

そうそう、動画は約4万7000件の「いいね」と2000件近い保存数を集めました。多くの人がリレーションシップにおける「大切なリマインド」として受け取ったようです。

 

最後に、カルチャー誌『DAZED』が掲載したLeviとWilliamへのインタビュー記事より、二人の秀逸なやりとりを紹介させてください。より良いパートナーシップを築くためのヒントとなりますように。

William: 多くの人が僕たちのことを「なんだかよくわからない。でも、恐れを感じる」っていうんだよね。

Levi:そんなの気にしない。だってそれ、アート作品を目にしたときに口をつく感想と同じでしょ。

Top image: © iStock.com/Kyrylo Matukhno
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