ロサンゼルスに「車のない17日間」がやってくる【2028年五輪】
2028年、次回の夏季オリンピック開催地となる、米国ロサンゼルス。3度目となる同都市での大会について、市長のKaren Bass氏は、“ノー・カー・ゲームズ”になると宣言した。
会場への移動手段はすべて
公共交通機関
Bass氏は先日パリで行われた記者会見で、2028年の大会計画の重要項目を発表。オリンピック会場への移動手段は、公共交通機関に限られるとし、実装に向けて公共交通機関の整備に着手することを明らかにした。
具体的には、ロサンゼルス空港と鉄道システムの連結に加え、自転車専用レーンの増設を予定。そのほか、3000台のバスを他都市から借り、車を使わない移動手段を観客用に確保するという。
国内有数の車社会
地元民に広がる交通渋滞の懸念
思い切った目標設定の背景には、環境問題への配慮に加え、地元住民が抱く交通渋滞への懸念があった。
国内でも有数の車社会として知られるロサンゼルスでは、平常時でも1時間超えの渋滞はあたりまえ。開催期間中はさらに酷い交通渋滞が見込まれるのではと、対策を求める声があがっていた。道路を走る車を減らすために、計画ではインフラ整備以外にも、地元企業へのリモートワーク推奨も含まれている。
「ノー・カー・ゲームズ」は、
“世界有数の交通網”を取り戻すか
1932年の大会開催時、ロサンゼルスでは全長1000マイルにおよぶ路面電車網が敷かれ、世界有数の交通網を持つ街としてその名を馳せた。しかし、戦後以降自家用車の普及などにより衰退。現在市内には、バスと電気路面電車が走行しているが、地下鉄は2線路のみとなっている。
「オリンピックのユニークな点は、17日間の間、交通、観客、商業についてルールを決めることで、普段より多く問題を解決することができること」。LA2028組織委員会の委員長Casey Wasserman氏はこう強調する。
“世界で最も優れた公共交通機関”は、五輪の聖火とともに、カムバックできるのだろうか。まだだいぶ先の話ではあるが、熱戦とともに見守りたい。