5000年前の遺跡から見つかった、人類最古の「地下室」の謎
書斎、ワインセラー、シアタールーム……。家を持つなら一度は夢見る「地下室」。この“憧れ”、どうやら5000年前の人々も持ち合わせていたようだ。
デンマークで発掘された新石器時代の遺跡から、当時としては珍しい、舗装された床を持つ地下室が発見されたという。
紀元前3000年の「ハイクラス住宅」
舞台となったのは、デンマーク南東部のファルスター島。「Nygårdsvej 3」と呼ばれるこの遺跡から、紀元前3500年から3000年頃に建てられたと推定される住居跡と、その地下に設けられた石畳で舗装された約2メートル×1.5メートルの空間が出土した。
当時の地下室は、現代の私たちが想像するような居住空間ではなく、主に「貯蔵庫」として使用されていたと考えられている。涼しくて暗い環境は、食料の保存に最適だっただろう。実際、発掘調査に携わったロラン島「ファルスター博物館」のMarie Brinch氏も「涼しい環境は食料の保管に適している」と、「Gizmodo」が氏のコメントを伝える。
縄文時代のシェアオフィス
地下室は「コミュニティの核」だった
しかし、この地下室には、単なる「貯蔵庫」以上の役割があった可能性も浮上している。遺跡周辺からは、外部からの侵入を防ぐための柵の跡が発見されているらしい。さらに、地下室からは土器の破片や骨の断片など、人々が集い生活していた痕跡を示す遺物も多数出土。
これらの発見を踏まえ、Brinch氏の研究チームは、地下室が外部からの侵入を防ぐための「シェルター」、そして人々が集い、物々交換や情報交換を行うコミュニティのハブとしての機能も担っていた可能性を示唆している。
現代社会においても、シェアオフィスやコワーキングスペースなど、仕事や交流の場として“第三の場所”の需要が高まっている。スマートフォンやSNSの普及により、人々は常に情報に溢れ、繋がりを求めているが……。よもや5000年前のデンマークの人々にとっても、閉鎖的な空間である地下室は、外部との繋がりを保ちながら、コミュニティを形成するための特別な場所だったのだろうか。
👀GenZ's Eye👀
発見した瞬間を想像するだけで、胸の高鳴りを抑えられないくらいドキドキしてしまいます。この地下室が単なる貯蔵庫ではなく、情報交換の場としてコミュニティのハブ機能を果たしていたとすれば……人間の社会性や協力の本質は時代を超えて変わらないのかもしれませんね。