サンタの墓、ついに発見か?「聖ニコラス教会」の地下に眠る1700年のロマン
赤い服を着てトナカイのソリに乗り、子どもたちにプレゼントを届けるサンタクロースは、クリスマスの風物詩として定着している。
しかし、そんなサンタクロースのモデルとなった聖ニコラスが実在の人物であり、彼が眠るトルコの「聖ニコラス教会」で、今、世界中の考古学者たちが注目する大発見があったことをご存じだろうか?
歴史を塗り替える大発見
「無傷の石棺」
2024年12月、「トルコ文化観光省」は地中海沿岸の都市デムレにある聖ニコラス教会の発掘調査で、ほぼ完璧な状態の石棺が発見されたと発表した。
石棺は装飾のないシンプルな作りで、地元産の石材を使用している。蓋には半円形の出っ張り部分と取っ手が付いており、長さは約2メートル、高さは1.5~2メートルと推定される。
発掘調査を指揮したハタイ・ムスタファ・ケマル大学美術史学科のエブル・ファトマ・フンドゥク准教授は、「初見では、この地域で見られる石棺のタイプに類似していると考えられています。発掘作業の過程で、多くのテラコッタ製オイルランプの破片や動物の骨も出土しました」と、発見当時の興奮を語っている。
聖ニコラス教会、その歴史とロマン
今回の発掘が、世界で大注目される理由はどこにあるのか。それは、石棺が教会の床下深く、これまで誰も触れたことのない場所に安置されていたという点にある。
聖ニコラス教会は、サンタクロースのモデルとなった4世紀の聖人、聖ニコラスが司教を務めた場所とされ、彼のお墓がある場所としても知られている。
しかし、教会は9世紀に一度崩壊し、その後も地震や度重なる修復を経て現在の姿となっている。今回発見された石棺は、そうした歴史の“波”を被ることなく、約1700年もの間、誰の目にも触れずに眠り続けていた可能性があるということ。
まさに、“タイムカプセル”のような石棺からは、聖ニコラスの生涯や当時の文化を解き明かす、貴重な手がかりが得られることが期待されている。
世界を繋ぐ聖人。その真実の姿とは?
聖ニコラスは300年頃、現在のトルコに位置するパタラという街で裕福な家庭に生まれた。幼い頃から慈悲深く、貧しい人たちを助けることに熱心だったと伝えられている。
その後、聖ニコラスはミラ(現在のデムレ)の司教となり、人々に慕われながらその生涯を閉じた。死後、彼の行いは人々の間で語り継がれ、やがてヨーロッパ中に広まった。
たとえば、貧しい家庭の娘3人に、こっそりと持参金を届けたという伝説は、現在のサンタクロースが子どもたちにプレゼントを届けるという風習の起源の一つとも言われている。聖ニコラスの行いは時と場所を超え、現代でも世界中の人々に希望を与え続けているというわけだ。