オークションにかけられた、世界最古の「十戒」。真贋不確かながら、7.8億円で落札
「モーセの十戒」といえば、多くの人が映画や物語の中の出来事を思い浮かべるだろう。 しかし、それが現実の世界に、それも自分のものに出来るとしたら?
今月初頭、世界中にビッグニュースが駆け巡った。300年から800年頃のものとされ、世界最古とされる十戒が刻まれた石板が、なんと「サザビーズ」のオークションにかけられたのだ。
敷石から一転、オークションへ
歴史的発見の裏側
今回オークションに出品された石板は、重さ約52キログラム、大きさ約632mm x 562mm x 62mm。古代ヘブライ語で十戒が刻まれた大理石の板。1913年、イスラエル南部の鉄道工事中に発見されたこの石板。しかし、その真価が理解されることはなく、その後、長らくの間、一般家庭の敷石として使われていたという。歴史的価値を見出されず、人々の生活に埋もれていた石板が、1943年、一人の学者によって発見されたことで運命は一変する。
落札額は予想を超える7.7億円!
しかし、その真贋は不確か?
サザビーズは18日、今回の「モーセの十戒」が刻まれた石板が500万ドル(約7億8,000万円)で落札されたと発表。当初、サザビーズの落札予想価格は100万ドルから200万ドルになると言われていたが、 結果はその予想は遥かに上回るものとなったようだ。
だが……ここで注目すべきことは、その「真贋」が不確かであるということ。というのも、今回の「十戒石板」は聖書に登場するオリジナルではないらしい。さらに、一部の専門家からは、西暦300年から800年の間に作成されたとされるその来歴に疑問の声が出ている。なにより、今回の石板には「出エジプト記」の10の戒律のうち9ヵ条しか刻まれていないという点から、真贋が話題に上ったというわけだ。
「CNN」が報じたところによると、「400年〜600年期のローマによる侵攻、もしくは11世紀後半の十字軍によって破壊された可能性が高い」というサザビーズの見解を伝えている。
7.8億円の「十戒」石板は、現代を生きる私たちに何を伝えようとしているのだろう。歴史の重み、人々の心を揺さぶる物語、デジタル化が加速する現代において、新たな価値観が残りの1ヵ条が刻まれることはないが……。