『あしたのジョー』作者ら、描き下ろし色紙を「チャリティオークション」に。200万円超えの作品も……!

人気漫画『あしたのジョー』や『あした天気になあれ』などの作者であるちばてつや氏は、太平洋戦争中に子ども時代を生きたことでも知られる人物。

今年の「終戦の日」には、実体験を踏まえた“平和”への想いを「日本漫画家協会」のホームページにこう発表していた。

少々長文ではあるが、全文にてご紹介したい。

平和について思うこと

暑い夏です。
夏になると、子供の頃に迎えた8月15日を思い出すのです。
私は引き揚げ者です。
大陸の強烈な夏の日差しに縁どられた藤色の木陰で友達と遊んでいたその日、親が勤めていた製紙工場の工場長のところで集まって、玉音放送を聴いた大人たちの打ちひしがれた姿。
そしてその日を境に住んでいたところは突如として外国になり、祖国日本に帰るための逃避行が始まりました。
冬になると思い出す、あの骨まで凍る強烈な寒さと空腹感。
道中体力が尽き亡くなった人はもちろん、軍からはぐれた敗残兵に銃殺を乞う人々もいたと聞きます。
そのひと冬で二十万人以上の人が死にました。
あれから77年、幸い日本では今も「戦後」が続いています。
それを簡単に「平和」と呼んで良いのかわかりませんが、色々不安定な世界情勢の中ではとても恵まれていて、本当に大切な状態だと思います。
一方、世界を見渡すといつでもどこかで戦争や紛争が絶えません。
飢えに苦しみ薬がなくて死んで行く人々が数知れず。
我が日本では、平和だから漫画が描けるし読んでももらえる。
そんな今だからこそ、何かできることはないかといつも考えていました。
これはそんな思いから有志で始めたチャリティです。

2022年8月15日  ちばてつや

さて、ちば氏の“チャリティ”というのが、いま、SNSを中心に話題を呼んでいる「『マンガDE平和』チャリティオークション2022」のこと。

「日本漫画家協会」が発案、総勢110名の漫画家たちが“平和”をテーマに描き下ろした色紙146枚を「ヤフオク!」に出品するという企画である。

参加者は、ちば氏をはじめ、『進撃の巨人』の諫山創氏や、『アイシールド21』の稲垣理一郎氏に村田雄介氏、『はじめの一歩』の森川ジョージ氏ら。

そのほかにも、漫画界を牽引する豪華な面々が名を連ねており、今月4日から順次出品がスタートしているのだが、なんと200万円超えの高値がついている作品も……!

© 日本漫画家協会公式 / Twitter
© 日本漫画家協会公式 / Twitter

落札代金は、ヤフーの手数料と、配送にかかる経費を差し引いた全額を「国境なき医師団」へと寄付される。軍事侵攻を受けるウクライナの人たちなどへの支援につなげたい考えだ。

オークションは10月23日まで開催中。詳しい動向は、こちらからチェックを。

Top image: © Gena Melendrez/Shutterstock.com
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。