「ちょっとした贅沢」がトレンド。 キャッシュレス決済データが明かす食の未来予測
スマホの決済アプリでランチ代を割り勘、なんてシーンもすっかり日常になった。そんな何気ないやり取りのなかで、あなたはどんな絵文字をよく使うだろうか?
ただの記号だと思っていたその絵文字、じつはあなたの価値観やライフスタイルを如実に表しているかもしれない。アメリカ発のキャッシュレス決済アプリ「Cash App」が、決済時のメモに添えられた絵文字や言葉に隠された興味深い食のトレンドを分析した。
「ちょっとしたご褒美」が生活を豊かに
Z世代を虜にする「プチ贅沢」
「FOOD&WINE」に掲載されたCash Appの調査レポート「That's Money」によると、ユーザーが送金メモにもっとも多く使う言葉は「Food」だった。
興味深いのは、それに続くのが「gas(ガソリン)」「love」「thanks」「happy」といった言葉である点。食という行為が、人間の根源的な欲求を満たすだけでなく、感情やコミュニケーションにも深く関わっていることを示唆している。
さらに注目すべきは「sweet little treat(ちょっとしたご褒美)」という言葉の使用が、前年比でなんと500%増加している点。同様の表現である「sweet treat」は349%、「little treat」は170%の増加を見せており、人々がちょっとした贅沢やご褒美を求める傾向が顕著になっている。
これは、近年の「ご褒美消費」トレンドを反映していると言えるだろう。物価高騰や社会不安など、必ずしも明るい未来ばかりが見えない時代において、人々は比較的手の届きやすい「食」を通して、小さな幸せや心の豊かさを求めているのかもしれない。
「モクテル」人気上昇
アルコールとの新たな付き合いかた
もうひとつ見逃せないのがモクテルの台頭だ。過去4年間でCash Appユーザーによる「mocktail」の使用は500%も増加しており、その中心にいるのはZ世代だという。
従来のお酒中心の文化に代わり、健康志向や多様な価値観を重視するZ世代の間では「ソバーキュリアス」然り、ノンアルコールカクテルであるモクテルを楽しむことが、新しいトレンドとして定着しつつある。これは単なる健康志向を超え、お酒との付き合い方自体を見直す、大きな流れを象徴していると言えるだろう。
絵文字に見る地域差
あなたの街を象徴する絵文字は?
Cash Appのデータからは、デジタル時代の食文化における地域差も見えてくる。絵文字の使用はニューヨークとカリフォルニアのユーザーが最多だが、おもしろいことに、好んで使われる絵文字には違いが見られるという。
たとえば、カリフォルニアでは「タコス🌮」と「ビール🍺」の絵文字が人気なのに対し、ニューヨークでは「泣いている顔😭」と「タクシー🚕」の絵文字の使用が多い。食に対する興味関心の高さは共通しているものの、それぞれの州の文化やライフスタイルが反映された結果と言えそうだ。
デジタル化が進む現代においても、食文化は一様ではなく、それぞれの地域やコミュニティ、そして個人の価値観によって多様に変化していく。私たち自身の「食」に対する意識も、時代と共に変化していくことは想像に難くない。
あなたのスマホ決済アプリの履歴は、どんな「食」の物語を紡いでいるだろう?何気ないデータでも、現代社会のおもしろい一面が見えてくる。そして、それはこれからの食の未来を少しだけ覗き見せてくれる貴重なカギとなるだろう。
👀GenZ's Eye👀
「love」「thanks」「happy」といった言葉は、お金に関わるものだけでなく共にシェアした時間や空間に対してのものなのではないかと思いました。美味しい食事とヘルシーな関係性こそが、人間がより繋がりを感じ幸せに思える一つの要素なのかもしれません。