Z世代は映画の「倍速視聴」が基本。目的は「時短」だけにあらず!
スマホの小さな画面でドラマや映画を楽しむことが当たり前になった現代。動画配信サービス(VOD)は、私たちの生活に欠かせない存在だ。
ある調査によると、15~29歳の約7割が2日に1回以上VODを利用しており、その視聴スタイルは一昔前では考えられないような、常識を覆す進化を遂げている……。
スマホ×映画
Z世代は「ながら見」がデフォルト
エンタメ情報メディア「VOD STREAM」が行った「Z世代の動画配信サービス利用実態に関する調査」によると、15~29歳のZ世代では約70%が「2日に1回以上」、およそ半数もの人が「毎日」VODサービスを利用しているという。
なかでも注目すべきは、Z世代のVOD視聴スタイル。同調査によると、視聴デバイスのトップは「スマートフォン (48.8%)」。テレビ (23.4%) とスマートテレビ (10.8%) を合わせても、スマートフォンの利用率には及ばない。
さらに、視聴場所として2位にランクインしたのは「通勤・通学中 (11.3%)」。自宅 (73.1%) でゆっくりと楽しむ人も多いいっぽうで、移動時間やスキマ時間を活用する「ながら見」スタイルも定着しつつあるようだ。
いつでもどこでも、好きな時に好きなだけコンテンツを楽しめるのがVODの魅力。しかし、情報過多な現代において限られた時間をいかに有効活用するかは重要なテーマと言えよう。
「時間がないから倍速」だけじゃない
Z世代の戦略的VODライフ
そして、同調査で明らかになったZ世代の特徴が「倍速視聴」。約半数がVODで映画を観る際に「倍速視聴する」と回答し、その理由としてもっとも多かったのは「時間を節約したいから (36.0%)」。
「タイパ」という言葉が流行するように、限られた時間を有効に使って最大限の成果を得たいと考えるZ世代は少なくない。しかし、彼らの倍速視聴は単なる「時短」のためだけではないようだ。
同社は、Z世代は「視聴」自体よりも「効率的な消費」を重視しているのではないかと分析。倍速視聴によって多くの作品に触れ、限られた時間のなかでより多くの情報や刺激を得ようとしているのかもしれない。実際、「ストーリーを早く知りたいから (22.6%)」「気軽により多くの作品を観たいから (14.0%)」といった回答からも、多くの作品を効率的に楽しみたいという意欲がうかがえる。
従来の「時間をかけてじっくり味わう」視聴スタイルだけが正しいわけではない。限られた時間を最大限に活用し、自分にとって最適な方法でコンテンツを楽しむZ世代の姿勢は、むしろ戦略的であると言えるだろう。
動画コンテンツを通して、私たちは新しい知識や感動を得たり、自分自身の価値観を広げることができる。Z世代の柔軟な発想と行動力は、これからの時代における新しいコンテンツとの向き合い方を示唆してくれているのかもしれない。
👀GenZ's Eye👀
望めば無限に情報が手に入れられるから、より多くの消費を行いたい気持ちには共感するが、映画作品のこだわり抜かれた「音楽」や「余白」なしに本当の消費と言えるのだろうかとも思う。
作品時間が映画の足枷になっているのであれば、今後ショートフィルムが主流になる未来もあるのかも。