親のネームバリュー、時代遅れ? ~米国の大学を揺るがす「レガシー入学」廃止の波~
誰もが努力次第で夢を実現できる社会。それは理想だが、現実はどうだろうか。とくに教育の分野において、機会の平等は議論の的となることが多い。米国でいま、名門大学に根付く「レガシー入学」という制度が、その是非を問われている。
「親のコネ」が合格の鍵?
レガシー入学の実態
「レガシー入学」とは、卒業生の親族を優遇する制度のこと。寄付金の増加や強力な卒業生ネットワークの構築などを目的として、長年多くの大学で導入されてきた。しかし近年、この制度が親の経済力や社会的地位を「特権」に変え、真に能力のある学生の入学機会を奪っているという批判が高まっている。
「Bloomberg」によると、カリフォルニア州では2008年に公立大学でレガシー入学を禁止。さらに2020年には、民主党議員が同様の法案を連邦議会に提出した。これは、名門私立大学を含む全米の大学に適用される可能性を秘めた動きだ。
多様性か、伝統か。
揺れる名門大学と学生たちの葛藤
この動きは、スタンフォード大学やハーバード大学など、多くの名門私立大学に波紋を広げている。大学側は、伝統的な寄付文化や卒業生の結びつきが弱体化する懸念を示すいっぽうで、社会の多様性確保の重要性を認識し始めている。
たとえば、コロラド大学ボルダー校では、レガシー入学廃止後、これまで入学が難しかった層の学生が増加。多様なバックグラウンドを持つ学生が集まることで、活気あるキャンパスが実現しているという。
変わる教育、変わる未来
レガシー入学の是非は、単なる大学入試の枠を超え、「公平性とは何か」「真の機会均等とは何か」を私たちに問いかけている。才能や努力が正当に評価される社会を実現するために、教育機関はどのような役割を担うべきなのか。
日本でも、親の経済力や学歴が子どもの教育環境に影響を与える教育格差は、深刻な社会問題となりつつある。米国の動きを他人事と捉えず、私たち自身の未来のために、今こそ教育のあり方について真剣に考える必要があるのではないだろうか。
👀 GenZ's Eye 👀
記事の中では大学という入口の確保の観点から教育機会の均等を実現しようとしています。しかし、本当の機会均等とは高等教育以前の段階で、教育機会の均等を実現するところにあると考えます。実力主義とはよく言ったもので、人それぞれの才能を開花させることができるかどうかは結局のところ環境次第なんですね。