2050年、世界はどうなる?「気候危機」と「デジタル格差」が子どもたちの未来を脅かす
SDGs、サステナビリティ、ジェンダー平等……日々、新しいキーワードが生まれては消えていく情報社会。そんななかで、本当に重要なことを見極め、自分らしい未来を選択していくことは容易ではない。
今、私たちが生きる世界は、大きな転換期を迎えている。そして、その変化は、未来を担う子どもたちの世代に、より大きくのしかかろうとしている。
「国際連合児童基金(ユニセフ)」が発表した「世界子ども白書2024:2050年のこどもたち」は、そんな未来社会を形づくる3つのメガトレンドに警鐘を鳴らす。
人口減少の先にあるもの
日本を先取りする世界の縮図
2050年、世界人口は97億人に達すると予測されている。しかし、その実態は「少子高齢化」という影が色濃く反映されたもの。先進国では既に深刻な社会問題となっているが、今後は発展途上国においても、その傾向が顕著になると予測されている。
ユニセフによると、2050年までに、日本を含む東アジアや西ヨーロッパでは、子どもの割合が2000年代と比較して大幅に減少し、高齢化社会が加速。これは、労働力不足、社会保障制度の逼迫、経済の停滞など、さまざまな問題を引き起こす可能性を秘めている。
いっぽう、アフリカでは子どもの数は増加するものの、貧困や教育格差といった課題は依然として根強く、子どもたちの未来は決して明るいものばかりではないようだ。
気候変動のタイムリミット
そして、気候変動は、もはや遠い未来の話ではない。毎年のように世界各地で発生する異常気象は、私たちの生活を脅かすまでに深刻化している。そして、その影響をもっとも大きく受けるのは、やはり未来を生きる子どもたち。
同白書によると、2050年までに、極端な熱波にさらされる子どもの数は2000年代と比べて8倍、極端な河川洪水にさらされる子どもの数は3倍、極端な山火事にさらされる子どもの数は2倍近くまで増加すると予測されている。
これらの数字は、決して他人事ではない。気候変動の影響は、食糧不足、水不足、感染症の蔓延など、私たちの生活のあらゆる側面に及び、紛争や貧困のリスクをさらに増大させる可能性も孕んでいる。
デジタル社会の二極化
テクノロジーは誰のためのものか?
スマートフォンやインターネットの普及により、私たちの生活は大きく変わった。しかし、いっぽうで世界ではデジタル技術へのアクセス格差が広がり、デジタル・デバイド(情報格差)が深刻化している。
ユニセフの報告によると、2024年現在、高所得国では人口の95%以上がインターネットにアクセスできるいっぽう、低所得国では約26%しかアクセスできないそうだ。これは、教育の機会や質の格差、情報へのアクセス格差など、さまざまな不平等を生み出し、社会全体で「情報格差」が固定化するリスクも孕んでいる。デジタル化が加速する現代社会において、すべての人々がその恩恵を享受できるよう、早急な対策が求められている。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、「2050年をよりよい未来にするためには、想像力だけでなく行動が求められる」と強調した。
2050年は、私たちが想像する未来とは少し違うかもしれない。しかし、どんな未来が訪れようとも、変化の波を乗り越え、よりよい未来を創造していくために、私たち一人ひとりができることがあるはずだ。
超大型台風「ヤギ」がもたらした豪雨による土砂崩れで、破壊された自宅の前に立つ6歳のカオさん(ベトナム、2024年9月12日)
首都ダッカのスラム街で暮らす10歳と2歳の兄弟。スラム街にあるバナニ湖には、ごみや下水が流れ込み水質が汚染され、子どもたちの健康を害する要因になっている。(バングラデシュ、2024年1月28日撮影)
紛争により首都ハルツームから逃げ、ポートスーダンの避難所で暮らしている12歳のアブデルガデルさん(スーダン、2024年8月15日撮影)
👀GenZ’s eye👀
個人的には、こうした環境問題や貧困問題を目にした時に、思いを巡らせたり、意見を発信するといったことでは、既に手遅れであると感じている。
こうした問題は我々が幼い頃から聞かせられていたこと。要らなくなった洋服は寄付し、寄付金を払える状態でいるために資産を管理しながら働く。もちろんイベントなどに参加したりすることは意味があることだが、その時間に苦しむ子どもたちのために出来ることは無数にあるはずだ。
世の中が少しずつでも、こうした知らない誰かを助けることを“善い行い”として称えるのではなく、当たり前なこととして浸透していくことが必要なのではないだろうか。