水面から食糧危機を救う「小さな植物」に期待が集まる
世界的な人口増加や気候変動の影響により、食糧危機が叫ばれて久しい。
持続可能な食糧システムの構築が喫緊の課題となるなか、水面に緑の絨毯のように広がる小さな水草「アゾラ」に注目が集まっている。
栄養満点、驚異的な増殖スピード
「アゾラ」とは?
アゾラは、水田や湖沼に生息する浮草の一種。日本でも「アイガモ農法」の一環として使用されることもあるありふれた植物だが、じつは驚くべき栄養価を誇りスーパーフードとしての呼び声も高い。
米ニュース機関「LAist」によれば、アゾラは乾燥重量の25~30%がタンパク質で構成されており、大豆に匹敵するほどの栄養価を含んでいるという。さらに、アゾラは驚異的な成長スピードをもつ。最適な環境下では、2日ごとにバイオマスを2倍に増やすことができるとのこと。
この成長力の高さは他の農作物と比較しても圧倒的であり、食糧生産における大きなアドバンテージと言えるだろう。
小さな植物がもつ
大きな可能性
これに限らず、アゾラらは地球温暖化や持続可能な農業への貢献も期待されている。空気中の窒素を植物が利用できる形に変換する窒素固定を行う「シアノバクテリア」という微生物と共生関係にあるからだ。
現在の農業では、窒素を供給するために大量の化学肥料が使われているが、化学肥料の製造過程では膨大なエネルギーが消費され、地球温暖化の原因となる温室効果ガスが排出されている。
そこでアゾラを肥料として活用すれば、化学肥料の使用量や環境負荷を低減できる可能性があるとのこと。これは、地球温暖化対策につながるだけでなく、土壌や水質汚染といった環境問題解決への糸口としても示唆されている。
過去の失敗を糧に
水草×技術革新
アゾラを食糧や肥料として活用する試みは、すでに1980~90年代、中国で行われていた。しかし、当時はアゾラの栽培や収穫に多くの労力を必要としたため、安価な化学肥料の普及とともに衰退してしまったそう。
現代の技術革新はそんな過去の課題を克服し、アゾラのポテンシャルを最大限に引き出すための追い風となるだろう。彼らは食糧危機という人類共通の課題を解決する、希望の光となる可能性も。そして、それは同時に地球環境を守り、持続可能な社会を築くための重要な一歩となるのではないか。
👀GenZ’s Eye👀
高い栄養価と環境負荷の低減を両立するアゾラは、持続可能性と個人の健康を同時に実現するスーパーフード。これはまさに現代社会が求める解決策の一つとなる可能性がある。ただし、普及には見た目、味、そして手軽さが重要......。アサイーのように広く人気を集めて欲しい。