水上に浮かぶ「未来の農場」が、91億人を食糧危機から救う?
世界の人口は、2050年には91億人を超えると言われています。
その上で考えなければいけない大きな課題は、食料需要の増加に対する生産量の確保。今も世界中で様々な施策が講じられてはいますが、その中でも注目されているのが水上で農作物を栽培できる「SMART FLOATING FARMS」です。
太陽光エネルギーを利用し、システムをほぼ自動で稼働でき、1つのファーム(360m×210m)で、農作物を年間8トン生産することができます。
海水を淡水化して
水だけで作物を栽培する
農作物には水耕栽培が採用され、根から栄養価の高い水分を吸収させることで土壌を必要とせずに作物を育てられます。
設置された淡水化プラントを使用して水を循環させるため、塩害のリスクもありません。さらに、複数の階層をもったファームの最下層では、養殖漁業も可能です。
大きなメリットは、水上に施設を設置する点。
これにより、野菜の生産にとって致命的なダメージとなりうる地震や水不足、洪水、動物からの被害といったリスクを回避できます。
また、それぞれのファームを連結させることもできるため、各地域に応じて最適化して設置可能。世界中どこでも海や湖、川があれば稼働できます。
廃棄物はすべてバイオガス・ダイジェスターという分解装置で肥料へと変換、栽培用の水へと再利用できます。
さらに、出来た作物が魚の餌にもなるため、このファーム内の循環システムだけで多くの食料を生産可能。
2009年の国連食糧農業機関による発表では、世界の食料生産は2050年までに70%ほど増加する必要があると言われていました。
しかし、農地を増やすだけではその割合をカバーすることは困難です。そこで必要とされていたのが、少ない水や肥料で効率良く食料を生産できるシステムや、作物を無駄にしない方法でした。
コンセプトデザインを手がけた「FORWARD THINKING ARCHITECTURE」からは、力強いコメントが発表されています。
「このシステムを利用すれば、その70%をカバーすることができる。まずはコンセプト・デザインからだが、十分実現可能なシステムだ。今の時点ではそうとしか言えないのだが」
いまだ、アイデアの段階に留まってはいるものの、食量を確保するための重要な対策として期待されています。
Licensed material used with permission by FORWARD THINKING ARCHITECTURE