「Uber Teens」解禁で変わる? 子どもの送迎、安心とリスクの境界線
共働き世帯の増加や、子どもたちの習い事の多様化が進むんできたなか、多くの親にとって悩みの種となっている「子どもの送迎問題」。 送り迎えに追われる日々を送るなかで、「もっと時間に余裕があれば」「子ども自身で安全に移動できれば」と願う声は少なくない。
いま、新たな選択肢として注目を集めているのが、「Uber Japan 株式会社」が先週より開始した新サービス「Uber Teens(ウーバーティーンズ)」だ。
スマホで完結する、子どもの移動手段
Uber Teens最大の特徴は、保護者向けの充実した安全機能にある。Uberアプリ上で子どもの乗車状況をリアルタイムに確認できる「リアルタイム乗車確認」や、乗車前に正しい車両・ドライバーであることを確認するための「暗証番号設定」が搭載。また、車内でのトラブルに備え録音機能も。さらに、利用者からの評価が高く、一定以上の運転経験を持つ「優良ドライバー」のみがマッチングされるという徹底ぶりだ。
過保護? それとも時代の流れ?
しかし、いっぽうで懸念されるのは子どものプライバシーの問題だ。子どもの行動が逐一追跡されることに対する抵抗感や、どこまで監視するのが適切なのか、保護者間でも意見が分かれるだろう。
「小学生のスポーツ活動における保護者の関与・負担感に関する調査研究 2021」(笹川スポーツ財団)によると、子どもの送迎を母親が行う割合は89.2%と、父親の56.4%と比べて圧倒的に高い。Uber Teensの導入は、こうした現状を変える可能性を秘めている。家事や仕事の負担軽減だけでなく、子どもの安全確保と自立を促すツールとして期待されるいっぽうで、子どもの自主性を奪うリスクも孕んでいると言えるだろう。
テクノロジーは
「親子の距離感」を変えるか
Uber Japan代表のDara Khosrowshahi氏は、「テクノロジーを活用して移動の安全性を高め、より多くの人々に安心できる移動体験を提供することに尽力している」と述べている。
Uber Teensの導入は、まさにこの理念を体現したものと言える。しかし、テクノロジーはあくまでツールであり、それをどう使うかは私たち次第。子どもの安全と自立、そして親子の適切な距離感について、改めて考える必要があるのではないだろうか。