寒さからくる「尿意」はなぜ起こる?身体のメカニズムと、意外な落とし穴
冬の澄み切った空気のなか、街はイルミネーションに彩られ、どこか心躍る季節。しかし、密かに悩まされる"あるある"がある。
「あれ、私だけ?最近トイレが近い……」そう感じることはないだろうか。
寒さが呼ぶ"尿意"のサイン
そのメカニズムとは
「冬の寒さ」と「トイレ」の密接な関係。アメリカのニュースサイト「HuffPost」によると、そこにはいくつかの医学的要因が隠されているという。
ひとつは、気温変化による身体の反応。気温が低下すると、私たちの体は熱を逃さないよう、血管をキュッと収縮させる。その結果腎臓への血流が増加し、尿の生成が促進されるのだ。まるで、体が温かさを保つために余分な水分を排出しようとしているかのように。
さらに、寒さそのものが膀胱に影響を与えるという点も。クリーブランド・クリニックの泌尿器科医ラエフティ・ボール博士によると「寒さは骨盤底筋を緊張させ、膀胱を過敏にする」という。その結果、膀胱が収縮しやすくなり、尿意を頻繁に感じるようになるのだ。
"トイレ事情"を悪化させる、意外な盲点
冬のトイレ事情を紐解くうえで見逃せないのが、「飲み物」の影響だ。
冷えた体を温めてくれるホットコーヒーや紅茶。冬の定番ドリンクとも言えるこれらの飲み物には、トイレの回数を増加させる"落とし穴"が潜んでいるという。ジョンズ・ホプキンス・メディシンの泌尿器科医アミン・ヘラティ博士は「カフェインには利尿作用があり、腎臓の働きを活発化させ、尿量を増加させる」と説明する。
また、年末年始の飲み会シーズンともなれば、ついついお酒の量も増えてしまいがち。しかし、楽しい席の後にはトイレとの戦いが待ち構えているかもしれない。
シーダーズ・サイナイ医療システムの泌尿器科教授兼産婦人科准教授のカリン・S・アイルバー博士によると、アルコールもまた利尿作用のある飲み物であるため、注意が必要だという。
そして、もうひとつ見落としがちなのが「隠れ脱水」のリスクだ。夏に比べて汗をかきにくい冬は、意識的に水分を摂らない人もいるかもしれない。しかし、暖房の効いた室内では、気づかないうちに水分が失われていることも。
この水分不足が膀胱を刺激し、頻尿を引き起こす可能性も指摘されている。
快適な冬を過ごすために
今日からできるトイレ習慣の見直し
冬の寒さ、そして日々の飲み物や水分補給。これらの要素が複雑に絡み合い、私たちのトイレ事情に影響を与えていることがお分かりいただけただろうか。
快適な冬を過ごすために、自身の体質や生活習慣を見つめ直し、トイレ習慣を見直してみてはどうだろう。
水分はこまめに摂取する
カフェインやアルコールの過剰摂取は控える
トイレに行きたくなったら我慢せずに行く
暖かい服装で身体を冷やさないようにする
ちょっとした心がけが、冬のトイレの悩みを軽減する鍵となる。もし、頻尿が日常生活に支障をきたす場合は、我慢せずに医療機関を受診することも検討しよう。
冬の寒さにも負けず、心身ともに健康で、快適な日々を送りたいものだ。