名品を後世へ。レトロで無骨、「笠松電機製作所」の照明が復刻販売決定

ふと部屋を見渡したとき、照明の存在が心に引っかかることはないだろうか。部屋の雰囲気を大きく左右する照明選びは、妥協したくないプロセス。

そこで注目したいのが、かつて日本の工場を照らしていた無骨でレトロな照明の復刻。そこには、懐かしさと新しさが共存する魅力があるようだ。

東大阪発、105年の歴史が物語る品質

内装に関わる商品とアイデアを提供する「toolbox(ツールボックス)」は、2022年に惜しまれつつも製造を終了した東大阪の町工場「笠松電機製作所」が手掛けた照明器具を、復刻販売するという。

同社によると、笠松電機製作所は105年の歴史をもつ、主に工場用照明を製造していた町工場。その実直なまでにシンプル、それでいてどこか温かみが感じられるデザインは、多くの建築家やデザイナーを魅了してきた。

2011年から「toolbox」で販売開始されると、年間約3000個を売り上げる人気商品に。しかし、笠松電機製作所の事業撤退により、その輝きは一時的に失われてしまったそうだ。

個性を表現する、サステナブルな選択

再び灯った名作の照明は、現代のライフスタイルにも寄り添う進化を遂げている。標準コード長は1mになり、1cm単位でのオーダーにも対応。

階段ホールのような吹き抜け空間にも、キッチンカウンター上のスタイリッシュな演出にも、自由自在に対応可能だ。

©株式会社TOOLBOX
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現代社会において、大量生産・大量消費への反省から、サステナビリティは重要なキーワードとなっている。

帝国データバンクの調査によると、2023年の後継者不在による倒産は509件と過去最多を記録。また、中小企業庁の発表によれば、2025年までに約245万人の事業承継者が70歳を迎える「2025年問題」も深刻化しているとのこと。

このような状況下、今回の復刻は単なるノスタルジーを超えた、大きな意味をもつと言えるだろう。モノを長く大切に使い続けること。そして、個性を表現しながらも地球環境への負荷を低減すること。この取り組みは、私たちに新たな消費のあり方を問いかける、希望の灯りなのかもしれない。

Top image: © 株式会社TOOLBOX
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。