NYの「渋滞税」導入に伴い、ライドシェアサービス「Lift」が驚きの施策を提案
ニューヨーク、マンハッタン。華やかなイメージとは裏腹に、長年深刻な交通渋滞に悩まされてきたこの街は、今年ついに渋滞税導入という大きな決断を下した。
マンハッタン地区への日中の車両進入には、一般車両で9ドル、ライドシェアでも1.5ドルの料金が課せられることに。これは、交通渋滞の緩和とそこから得られる資金を公共交通機関の拡充に充てるという、市の強い決意の表れと言えるだろう。
還元キャンペーンの裏側に
隠された思惑
「TechCrunch」によれば、渋滞税の導入と同時に、ライドシェアサービスの「Lyft」が利用者向けに新たな施策を発表したという。なんでも、1月のあいだは渋滞税を支払った利用者に対して、翌週同サービスまたはシェア自転車サービス「Citi Bike」で利用できるクレジットを提供するというのだ。
一見すると利用者思いのキャンペーンのようだが、彼らはマンハッタン96丁目以南での乗車に対して、すでに2.75ドルの渋滞税を利用者から徴収している。今回の還元施策は、さらなる料金増加による利用者離れを防ぎたいという、同社の思惑が見え隠れできる。
実際、同サービスはこのクレジットについて「新たな出費に順応してもらうためのささやかな取り組み」と説明し、「乗車料金全体のコスト削減に取り組んでいる」と述べている。
渋滞税は、未来への投資となるか
ニューヨーク市の渋滞税導入は、世界の大都市が抱える交通問題に対するひとつの試金石となるだろう。
ロンドンやシンガポールなど、すでに渋滞税を導入している都市では、交通量の減少や公共交通機関の利用促進といった効果が見られるいっぽうで、低所得者層への経済的負担増加や、効果的な交通網整備の必要性といった課題も浮き彫りになっている。
彼らの取り組みは始まったばかりだ。今後どのような影響が表れ、市民の行動変容や都市環境にどのような変化をもたらすのか。引き続き注目していく必要があるだろう。