「もう無理…」から始まる人間関係リセット。 現代人の「ドタキャン」増加は、社会のSOS?

「今週の予定、空いてる?」と聞かれても、何となく気が重い…。 そんな経験、あなたにもありませんか?

気軽な集まりですら、気後れしてしまう。 そんな社会不安の先にあるものとは?

The Guardianの記事によると、近年、ドタキャンや約束の直前キャンセル、いわゆる「フレイク」行動が増加しているという。これは日本に限った話ではなく、世界的な傾向のようだ。

「みんな、燃え尽きている」の声

記事では、さまざまな立場の人々の意見が紹介されている。 ドタキャンする側の言い分として多く挙げられたのは、「とにかく疲れている」という声だ。仕事や人間関係のストレス、常に情報に追われる毎日。そして追い打ちをかけるように、物価高や不安定な社会情勢…。 「予定を入れても、結局疲れてしまってドタキャンしてしまう方が申し訳ない。自分のペースを守るためには、約束をしないのが一番」 そう話すのは、オーストラリア在住の43歳のアーティストだ。

実際、「内向的な性格」や「ひとりの時間」を大切にする人が増えていることは、近年のトレンドとも合致する。 たとえば、株式会社リクルートが2023年に実施した調査によると、「一人の時間を充実させたい」と考える人の割合は年々増加しており、20代~30代では約7割に達している。

「ドタキャン肯定派 vs. 批判派」 価値観の交差点

ドタキャンを「自己愛」の表れだと批判する声もあるいっぽう、「自分を大切にするための行動だ」と肯定的に捉える意見もある。

「ドタキャンは、現代社会の歪みが生み出した、ある種の自己防衛の現れなのかもしれない」 ブリスベンで働く23歳のAndrewは、そう分析する。

つながり方の再構築。「個」と「集団」のバランス

「ドタキャン肯定派」の意見の裏には、人間関係の希薄化やコミュニケーションの軽視といった問題が潜んでいるようにも思える。 記事に登場する、アイルランド在住の40歳のFionaは、 「ドタキャンする人は、自分のことしか考えていない。約束を破られた側の気持ちを想像できていない」 と、その身勝手さを痛烈に批判する。

一方で、「ドタキャンされた方がホッとする」という声もあるのも事実だ。 「以前は頻繁に集まっていた大学の友人グループも、今ではほとんど集まらなくなった。誘っても断られることが増えたし、私自身も、ドタキャンする口実を探してしまう自分がいる」 そう話すのは、ロンドン在住の37歳のLaraだ。 「ドタキャンは、人間関係を少しずつ蝕んでいく。そのことに気付けるかどうかが、人とのつながりを維持できるかどうかの分かれ道なのかもしれない」

テクノロジーの進化によって、私たちはいつでも誰とでも繋がれるようになった。 しかしその一方で、本当に大切な人たちとの距離感は、より複雑になっているのかもしれない。 便利さと引き換えに失ってしまったもの、そして本当に大切なものは何か? 今一度、自分自身に問いかけてみる必要があるだろう。

Reference: theguardian
Top image: © bee32/iStock
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