“炎上保険”なるサービスが登場。キャンセルカルチャーの影響緩和なるか
SNSでの発言が炎上し、個人や企業が非難を浴びる「キャンセルカルチャー」。その恐怖は、今や有名人だけのものではない。
何気ない一言が拡散され、炎上、そして「キャンセル」の対象となるリスクは、誰にでも潜んでいる。
そんな不安な時代の中、イギリスの保険会社Samphire Riskが、キャンセルカルチャーのリスクに備える新時代の保険「Preempt」を新たに提供開始したという。
新時代の“炎上保険”ことPreemptとは
「Preempt」は、オンライン上での発言をきっかけに炎上してしまった場合、60日間にわたり専門チームがサポートしてくれるというもの。
TheFuturePartyによると、具体的なサービス内容としては、SNSやメディアへの対応、24時間体制のホットライン、過去の投稿分析による潜在的なリスクの検知、そして誤情報や脅迫への対策など、まさに万全の体制として紹介されている。
Samphire Riskは、もともと身代金要求や誘拐などのリスクにも対応する保険を提供している会社である。「Preempt」の保険料は、顧客の資産状況や過去のデジタル行動などを分析した上で決定するとのことだ。
本質的な解決には意識強化も必要
「Preempt」は、確かに炎上による経済的損失や精神的な苦痛を軽減してくれるかもしれない。
ただし、保険適用を気にして、本来であれば発信できたはずの自由な意見や考えが制限されてしまう可能性も否定できない。また、保険に加入しているという事実が炎上時に明らかになった場合、かえって批判が激化してしまうリスクもあるだろう。
そもそもキャンセルカルチャーの問題の本質は、加害者と被害者の線引きが曖昧で、一度の失敗がその後の人生に大きな影を落とす点にある。「Preempt」は、あくまでも事後対応策の一つに過ぎないのだ。
私たちに必要なのは、キャンセルカルチャーを生み出す社会の風潮そのものと向き合い、寛容性や多様性を受け入れる成熟した社会を築いていくことでもある。
Preemptのような先進的な取り組みをきっかけに、社会全体の意識向上が伴われることを期待したい。