世界で人気急増中の新イベント「オフライン・クラブ」とは
Z世代は、生まれたときからインターネット環境が整っていた「デジタルネイティブ」世代。
SNSや動画配信サービスを日常的に利用する一方で、オンラインの過剰な刺激に疲れを感じ、リアルな体験への欲求が高まっているのが現状だ。
2025年のライフスタイルトレンドとしても「Sober(しらふ)」と呼ばれる概念が注目されており、アルコールやデジタル依存から距離を置き、より健康的でバランスの取れたライフスタイルを求める動きは加速している。
そんな中、海外で興味深いイベントが密かなトレンドとなっている。
デジタルデトックスイベント『オフライン・クラブ』
意識的にデジタルから離れ、リアルな人間関係を築こうとする動き。その中で注目を集めているのが、「The Offline Club(オフライン・クラブ)」と呼ばれるイベントだ。
これは、参加者全員がスマートフォンを預け、リアルな交流や自己の内省に集中するというデジタルデトックス体験である。
24年10月にアムステルダムで設立され、現在はロンドン、パリ、バルセロナ、ドバイなど欧州を中心に国際的な人気を博している。特にロンドンでは、立ち上げ以来2,000人以上が参加し、チケットは毎回即完売となるほどだという。
ロンドンのイベントでは、参加者はスマートフォンを預け、2時間にわたり完全にオフラインの環境で過ごす。この間、読書、瞑想、対面での会話など、デジタルデバイスから解放された活動に集中する。
参加者の多くは20代から30代で、チケットは9.50ポンド(約1,500円)。
また、The Offline Clubは企業向けのデジタルデトックスイベントも企画しており、チームビルディングや社員のウェルビーイング向上を目的としたプログラムも提供しているようだ。
デジタルデトックスイベントとはいえ、さすがにインスタのアカウントは運用されている。
世界中のZ世代が、デトックスタイムを必要としている
欧州の例を述べてきたが、こうした動向は世界中で広がっている。
例えば、アメリカでは「Unplug Retreats」と呼ばれるスマホ禁止の宿泊プログラムが人気を集めており、日本でも「デジタルデトックスツアー」として注目を集めつつある。
ある調査によると、アメリカのZ世代の平均スクリーンタイムは1日7時間を超えており、特にTikTokやInstagramの利用時間が長いという。この状況に対応するため、AppleやGoogleはスクリーンタイム管理機能を強化し、ユーザーがデバイス使用時間を自己管理できるような取り組みを進めている。
デジタルデトックスの流れは、単なる一時的なトレンドではなく、Z世代がリアルな体験を求める意識の高まりを反映したもの。
今後、企業やサービスもこの動きに対応し、新たなライフスタイル提案を行う可能性があるだろう。デジタルとリアルのバランスをどのように取るか、社会全体で考える時期が来ているのかもしれない。