美の基準はもう古い?ミスコン終了が問いかける「自分らしさ」
「美しさ」を競う華やかなミスコンの世界は、近年、多様性や社会貢献を取り入れるなど、時代の変化に合わせて進化を遂げてきた。しかし、2024年、その歴史に幕を下ろすことになったミス・ユニバース・オランダ大会。
これは、単なるコンテストの終焉ではなく、「美しさ」の定義そのものが見直される時代の到来を告げているのではなかろうか。
終幕の背景に、揺らぐ「美しさ」の基準
先月「CNN」が報じたところによると、大会責任者Monica van Ee氏は、今回の決断の理由を「時代は変化している」という一言に集約したそうだ。
世界で初めてトランスジェンダー女性が優勝した2023年の大会。歴史的な一歩として称賛されたいっぽうで、出場者への容姿に関する心ないコメントやバッシングも止まなかったという。「(批判は)毎年、ネガティブなエネルギーをもたらす」と、複雑な胸中を明かしている。
SNSの普及により、誰もが簡単に情報を発信し、比較される時代。画一的な「美しさ」の基準が押し付けられ、外見へのプレッシャーに苦しむ人も少なくない。従来のミスコンは、そうした現代社会の歪みとも無関係ではいられなかったのかもしれない。
多様化する価値観と
新しい「美しさ」の表現
時代の変化とともに、人々の価値観は多様化している。画一的な「美しさ」を追い求めるのではなく、個々の個性や自分らしさを尊重する風潮が高まっていると言えるだろう。
事実、ミス・ユニバースの世界大会では、昨年から参加資格が28歳以上の女性にも拡大。既婚者や母親の出場も認められるなど、時代に合わせて変化を続けている。ミスコンの枠組みを超え、様々な分野で自分らしく活躍する女性が増えている今、従来型の「美の競演」は、その役割を終えつつあるのかもしれない。
自分らしさを肯定する、未来へ
ミス・ユニバース・オランダ大会は今後、若者の自己肯定感を育むための新たなプラットフォームへと生まれ変わるという。外見だけでなく、内面の強さや個性を認め合い、自分らしく輝ける社会を目指していくそうだ。
ミスコンの終焉は、私たちに多くのことを問いかけている。「美しさ」とは何か、どのように自分らしさを表現していくのか。そして、多様性を受け入れる社会をどのように築いていくのか……。
これらの問いに対する答えは、一つではない。しかし、自分と向き合い、他者を尊重しながら、未来に向かって歩みを進めていくことが重要なのではないだろうか。