「カラオケないけど棺桶あります」異色の“終活スナック”が開業

「カラオケないけど棺桶あります」

人生100年時代と言われ、死という概念がますます遠い存在となる昨今。そんな中、沖縄県那覇市にオープンする一風変わったスナックが話題になっている。

その名も「終活スナックめめんともり」。

2025年2月15日にオープンする「終活スナックめめんともり沖縄店」は、YOMI International株式会社が運営する、人生の終焉について語り合える場を提供するユニークなスナックだ。

同社は、プレスリリースにて「生きるを支え、人をつなぐ」をミッションに掲げ、「終活スナックめめんともり」を通じて、「死」というテーマをより身近なものにし、人との繋がりを生み出すことを目指している。

© YOMI International株式会社

人生の最期について気軽に語り合う空間

「終活スナックめめんともり」最大の特徴は、店内に設置されたオリジナルの棺桶だ。これは、沖縄の伝統工芸作家である崎山ハナエ氏によって琉球紅型染で彩られたもので、希望者はいつでも入棺体験が可能だという。

「今回のデザインは『ニライカナイの杜』をイメージし染めました。シーサーが魂の旅を一緒に遊びながら、お守り導いてくれる存在として染めています。また生命力を象徴する唐草には、人生の繁栄の意味を込めてデザインしました。」(崎山氏)

「死」を連想させる棺桶を、明るくポップなデザインにすることで、終活に対する心理的なハードルを下げ、より身近なものとして捉えてもらう狙いがあるのだろう。

高まる終活への関心と地域活性化への貢献

内閣府の「令和4年版高齢者白書」によると、65歳以上の高齢者人口は3627万人と過去最多を更新しており、高齢化社会の更なる進展は避けられない。一方で、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和4年推計)」によれば、2040年には高齢化率が35%を超え、国民の3人に1人が65歳以上になると予測されている。

このような状況下、終活に対する関心はますます高まっており、終活関連サービスも多様化している。その中でも、「終活スナックめめんともり」は、従来の終活サービスにはないエンターテイメント性と地域密着型のサービスを兼ね備えている点が新しい。

同店の運営会社代表である村田ますみ氏は、「20年前に母を沖縄の海に散骨してから、ここは私にとって第二の故郷のような場所になりました。この度、沖縄に人々の居場所をつくるご縁をいただいたことに心から感謝いたします。人々との繋がりから沖縄の豊かな死生観を学ばせていただき、新しい形の終活を提案したい」と語る。

「終活スナックめめんともり」は、単なる終活サポートの場ではなく、地域住民の交流の場としての役割も担っている。高齢者にとっては、孤独感を解消し、生きがいを見出す機会になるかもしれない。若者にとっては、終活について考えるきっかけとなり、人生の先輩たちから貴重な話を聞ける場になる可能性も秘めている。

終活エンタメが切り拓く未来

「終活スナックめめんともり」の登場は、終活に対する意識を変え、よりオープンに語り合える社会を作るための第一歩となるかもしれない。死をタブー視せず、むしろ楽しむという発想は、高齢化社会における新たな可能性を示唆していると言えるだろう。

終活というテーマを、地域文化と融合させ、エンターテイメントとして昇華させた「終活スナックめめんともり」。そのユニークな試みは、今後の終活のあり方、そして地域活性化の新たな形を示してくれるかもしれない。

Top image: © YOMI International株式会社
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