「時間は金で買える」かも。斬新な“行列代行サービス”が密かなブームに
週末のラーメン店の長蛇の列、話題の展覧会のチケットを求める人の波、人気アイドルのライブ会場を取り囲む熱狂的なファンたち……。
誰もが一度は経験するであろう「行列」。この「待ち時間」をビジネスチャンスに変える“行列代行サービス”なるものが、静かなブームを巻き起こしているらしい。
『TheFutureParty』の記事によれば、家事代行サービスなどを提供するプラットフォーム「TaskRabbit」では、2023年11月と12月における行列代行サービスの利用が、前年同月比で18%増加したという。
行列代行サービスの平均時給は27ドル。都市部を中心に、需要は高まっているようだ。
「待つのはもう古い?」 行列代行サービス、その驚きの実態とは
行列代行サービスは、その名のとおり、顧客の代わりにさまざまな「行列」に並んでくれるサービスだ。早朝から整理券を求めて並ぶ必要がある場合や、悪天候の中で長時間待たなければならない場合などは、体力的・時間的な負担が大きい。しかし、行列代行サービスを利用すれば、貴重な時間を有効活用することができる。
たとえば、「今日は仕事が忙しいけれど、話題のラーメン店にはどうしても行きたい!」という場合でも、行列代行サービスを利用すれば、退勤後にできたての味を楽しむことができる。時間がない、あるいは、その時間を他のことに使いたいというニーズに応える、まさに現代社会ならではのサービスと言えるだろう。
「時間」は「お金」で買えるのか? 行列代行が突きつける、新たな格差
利便性の高い行列代行サービスだが、その裏には、倫理的な課題も潜んでいる。TheFuturePartyの記事では、行列代行サービスが高額になる事例として、入場制限のある最高裁判所の聴聞会を挙げている。わずか50人しか入場できないこの聴聞会では、数日間にわたって列を成すケースもあるという。
高額な料金を支払ってでも、この貴重な機会を手に入れたいという人々にとって、行列代行サービスは必要不可欠な手段となっている。しかし、これは同時に「経済力のある者が、時間さえも買えてしまう」という現実を浮き彫りにしていると言えるだろう。行列代行サービスの普及は、経済格差によって「体験」や「機会」へのアクセスに差が生まれる社会を加速させてしまう可能性も孕んでいる。
対策が生まれるのか、新たなスタンダードとして定着していくのか。今後の動向にも注目しておきたい。