日本の「金継ぎ」文化が世界に浸透中
金継ぎとは?
欠けた器を漆で接着し、金で装飾しながら修繕する技術を「金継ぎ(金繕い)」といいます。海外でもそのまま「KINTSUGI」と呼ばれている日本の伝統文化で、ひび、かけ、割れてしまった器を蘇らせることができる。
壊れた箇所を隠すのではなく、装飾としてあえて見せることで使い手もそこにストーリーを感じることができ、唯一無二のデザイン、美しさが現れるのが魅力。漆を使わない簡単なキットをなどでも手軽に始めることができるため、海外でも度々話題になりました。
ここではそんな日本の伝統文化「金継ぎ」について、国外のトピックスに触れながら改めて紹介したいと思います。
日本人陶芸家の「金継ぎ」がNYで展示(2016年)
陶芸家・鴨下知美さんは2016年にNYで「金継ぎ」を使った作品を展示し称賛を浴びました。収益の一部を東日本大震災の支援基金とする展覧会「Contemporary Talents of Japan」に出展し、「波」という展覧会のテーマに沿って波に運ばれ砂浜へと漂着した陶片やシーグラスを箸置きとして蘇らせた作品を制作。海外でも10社以上のメディアに取り上げられるなど、日本の現代美術として注目を集めました。続きを読む>>>
ドイツ人が感動した、
究極の日本文化「金継ぎ」(2017年)
日本人の女性と結婚したドイツ人、マティアスさんが日本で「金継ぎ」を体験した際のエピソードです。ある日、陶芸教室の外国人向けコースで「金継ぎ」を習ったのをきっかけにすっかり魅力されてしまい、今では同僚や近所の人もマティアスさんに修繕してもらうために割れた食器を持って行くのだとか。続きを読む>>>
金継ぎした食器、
イタリアで発売される(2018年)
イタリア人デザイナーのMarcantonioさんは「金継ぎ」の美しさと考え方に感銘を受け、異なる柄や素材の食器を使う独自のデザインで洋食器に応用しました。イタリアの家庭用品ブランドで「KINTSUGI」として発表され、今やブランドを代表するコレクションとして世界中で販売されています。続きを読む>>>
ブラジル人アーティストによる
現代版「金継ぎ」で修復されたイス(2019)
ブラジル人アーティストTatiane Freitasさんが「金継ぎ」から発想を得て、家具の壊れた箇所をアクリルで復元し2016年に発表した作品です。家具の歴史を尊重するヴィンテージでありながら現代的なデザインは、古いものと新しいものが共存することで新しい価値を生んでいると海外のデザインサイトで徐々に大きく取り上げられ、TABI LABOでも2019年に紹介しました。続きを読む>>>
海外に広がる日本の伝統文化
近年ではNYで道路の舗装に金継ぎの方法を取り入れる研究が進められており、「金継ぎ」という手法と、物を大事にするフィロソフィーはアート以外の世界にも浸透してきています。海外でアップデートされた金継ぎデザインを見かけることが多くなるかもしれませんね。