デジタル技術と“香り”が日本の妖怪世界へ誘う体感型ミュージアム『動き出す妖怪展 NAGOYA』
デジタル技術を駆使し、日本の妖怪世界へ観客を誘う体感型デジタルアートミュージアム『動き出す妖怪展 NAGOYA』。2025年7月19日から名古屋で開催されるこの展覧会が、視覚と聴覚に加え、「嗅覚」という新たな要素で鑑賞体験を深化させる。
タッグを組むのは、日本の技と挑戦心を香りに込める香水ブランドだ。
妖怪の世界観を「香り」で表現
今回のコラボレーションでは、株式会社キャライノベイトが手掛ける二つの香水ブランド「破天荒」と「PERFUMERS with scent.」が、展覧会内の特定エリアの香りを演出する。
「妖怪大乱舞」と「妖怪藤回廊」の二つの空間で、それぞれ異なる香りが漂い、映像美や音楽と融合することで、来場者を「YOKAI」ワールドへと深く引き込む仕掛けだ。
「妖怪大乱舞」エリアを彩るのは、「破天荒」ブランドの「おどろおどろ」の香り。これは、歌川国芳の代表作「相馬の古内裏」が描く不気味で美しい情景に着想を得たもので、闇夜の冷たさと神秘性を香りで表現しているという。
一方、「妖怪藤回廊」では、「PERFUMERS with scent.」の「藤の香り」が、やわらかな風になびく藤の花の優美さで、幻想的な空間を創り出す。


日本の技を香りに込める「破天荒」と「PERFUMERS with scent.」
コラボレーションの一翼を担う「破天荒」は、既成概念に捉われず挑戦を続ける職人たちと共に、日本の技を結集させた香水ブランドだ。
木曽檜に加賀友禅の技法を施したボトルキャップを採用するなど、異業種の卓越した技を融合させ、日本の伝統文化を現代的な価値へと昇華させている。
今回の展示で使われる香りも、会場の物販コーナーで購入可能で、体験の記憶を香りと共に持ち帰ることができる。

■ 破天荒おどろおどろの香り×妖怪大乱舞
歌川国芳の「相馬の古内裏」に描かれる不気味で美しい情景から、闇夜の冷たさと神秘を香りで表現した「おどろおどろ」の香り。妖怪たちの乱舞をより鮮明に描き出します。


また「PERFUMERS with scent.」も、製造工程のすべてを日本国内で行いながら、海外では芸術とみなされる“調香師による香り”を目指すフレグランス。
「不意に誰かの感情や記憶の琴線をゆらす様な、そんな奥深い香りの魅力を発信していけたら」と語るように、日本へのプライドと海外志向を併せ持った気鋭のブランドとなっている。

■ PERFUMERS with scent. 藤の香り×妖怪藤回廊
やわらかい風になびく藤の花の優美な香りが回廊を包み込み、幻想的な空間を創り出します。


体験型アートの最先端は、「五感で」楽しむ
アート鑑賞は、もはや静かに「見る」だけのものではなくなった。プロジェクションマッピングや3DCGを駆使したイマーシブミュージアムが世界的な人気を集め、観客が物語の当事者として作品世界に没入する体験が、新たなエンターテインメントの形として定着しつつある。
この流れの中で、「嗅覚」へのアプローチは、没入感をさらに深める重要な要素として注目されている。香りは、人間の五感の中で最も記憶や感情と直接的に結びついていると言われる。
この特性を利用し、展示空間を特定の香りで満たすことで、視覚情報だけでは伝えきれない情景の奥行きや、登場人物の感情を、より直感的に鑑賞者に伝えることが可能になる。
実際に、国内外の美術館やアートイベントで香りを活用した演出は増加傾向にある。オランダのマウリッツハイス美術館では、17世紀の絵画に描かれた花やスパイス、さらには運河の匂いまで再現する展覧会が開催された。
日本でも、三菱一号館美術館が開催した「ルノワール×セザンヌ展」で、南仏プロヴァンスをテーマにしたロクシタンの香りが演出に用いられたり、小説家と香老舗がコラボレーションした「言葉でつなぐ、私と香り展」のような企画も生まれている。
記憶に刻む、妖怪たちの息遣い
『動き出す妖怪展 NAGOYA』の試みは、この「体験型アート」と「香りの演出」という二つの潮流が交差する、まさに現代的な企画といえる。
妖怪たちが跋扈するおどろおどろしい空間の冷気、藤の花が咲き誇る回廊の優美な空気。それらを香りが補完することで、鑑賞者は映像の中の妖怪たちの息遣いを、よりリアルに感じることになるだろう。
日本の伝統文化である妖怪が、最先端のデジタル技術と、同じく伝統に根差した香りの文化と融合する。この夏、名古屋で体感できる五感を揺さぶるアート体験から、目が離せない。

「動き出す妖怪展 NAGOYA 〜Imagination of Japan〜」
■開催日時|2025 年 7 月 19 日(土) ~9 月 23 日(火・祝) 9:30~20:00(最終入場 19:30)
※開催期間中休館日なし
■開催場所|金山南ビル美術館棟 (旧名古屋ボストン美術館)
(愛知県名古屋市中区金山町1丁目1-1)
■主催|動き出す妖怪展 NAGOYA 実行委員会(テレビ愛知・一旗・時事通信社)
■共催|中日新聞社、日本経済新聞社
■特別協力|西尾市岩瀬文庫、妖怪美術館(小豆島)
■協力|ヤマハ、キャライノベイト
■後援|愛知県、名古屋市、名古屋市教育委員会、FM AICHI、ZIP-FM
■企画・制作|一旗、テレビ愛知
■公式HP|https://www.yokaiimmersive.com
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