【COP30開幕直前】ルラ大統領「化石燃料依存モデルの終焉」を宣言。気候変動との戦いの行方

ブラジル大統領ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァは、地球が人類の化石燃料への依存をこれ以上維持できないと述べ、よりクリーンなエネルギーへの急速な移行なしには気候変動との戦いが失われる可能性があると警告しました。

これは、インドの主要紙『THE TIMES OF INDIA』が報じた内容であり、来週ブラジル・ベレンで開幕する国連気候会議「COP30」を前に発信された重要なメッセージとも言えます。

化石燃料依存モデルの限界

過去200年の開発モデルの終焉

ルラ大統領は、「地球は、過去200年間続いてきた化石燃料集約型開発モデルをこれ以上維持できない」と発言。これは、気候変動の主な原因とされる石炭、石油、ガスからの脱却を各国に求めるサミットでの発言であり、気候変動との戦いの成否はエネルギーの未来にかかっていると強調しました。

COP30における移行への期待と抵抗

ブラジルは、化石燃料からの移行に向けたロードマップをCOP30で提示したいと考えていますが、加盟国間での意見の相違も存在します。メキシコ環境大臣は、化石燃料の全廃日を具体的に設定することの難しさを指摘しつつも、長期目標としての提案は可能だと述べました。いっぽうで、ルラ大統領自身がCOP30を主催するなか、アマゾン地域での新たな石油掘削を承認した政府の決定は、矛盾をはらんでいます。

国際社会の多様なアプローチと課題

気候変動対策は、経済的圧力、紛争、そして化石燃料推進への動きなど、多くの課題に直面しています。しかし、フランス、スペイン、ケニアなどが主導する高級航空機旅行への課税の動きは、排出量の多い層に負担を求める新たなアプローチとして注目されています。また、森林保護のための基金設立など、プラスの動きも見られますが、パリ協定の目標達成には程遠いのが現状です。

気候変動対策における緊急性と国際協力の重要性

「増分的」な進歩の限界と行動の規模

ルワンダ環境大臣が指摘したように、現状の「増分的」な進歩では、燃え盛る地球に対応するには不十分。気候危機にふさわしい規模での行動が求められており、各国、特に先進国には、化石燃料経済からの脱却という過去の約束を果たすことが強く求められています。NGOネットワークの代表者は、先進国の国家計画における化石燃料からの移行へのコミットメントの欠如や、気候変動の影響を受けている地域への十分な資金援助が行われていないことを批判しています。

国際協力の成果と今後の展望

国連気候変動枠組条約事務局長は、パリ協定から10年が経過した今、国際協力が一定の成果を上げていることを強調しました。これにより、平均気温の上昇が5度に達する可能性があった未来から、3度未満に抑えられていると述べています。これは、気候変動対策における国際協力の有効性を示す証拠であり、今後のさらなる協調行動の必要性を示唆しています。しかし、依然として気候変動の最悪の影響を回避するには、さらなる努力が必要なのはたしかです。

持続可能な開発モデルへの転換の必要性

ルラ大統領の警告は、経済成長と環境保護の両立が、従来の化石燃料に依存した開発モデルでは不可能であることを改めて浮き彫りにしました。COP30は、この持続不可能なモデルから脱却し、再生可能エネルギーへの移行を加速させ、地球の限界を尊重する新たな開発パラダイムを構築するための重要な機会となります。国際社会は、具体的な目標設定と、それを達成するための協力体制の強化が急務となっています。

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