サウナは、静かであるべきだと思った。岐阜・多治見に生まれる「曼荼羅」
サウナで“ととのう”はずなのに、落ち着けない……。
混雑、会話、順番待ち。ブームの裏側で生まれた違和感に、ひとつの明確な答えを提示するプロジェクトが岐阜・多治見で動き始めた。2026年3月開業予定のアウトドアサウナ「曼荼羅-mandara-」は、サウナ体験そのものを再定義しようとしている。
「ととのい難民」という現実から始まった挑戦
多治見市の温浴施設「天光の湯」は、20周年を機に既存施設の拡張ではなく、**“至高のととのいのための理想郷をゼロから創る”**という選択をした。
背景にあるのは、サウナ人気の高まりによって生じた混雑と、静かに自分と向き合う時間の喪失。癒やしの場が消費の場へ変わっていくことへの、明確な問題意識だ。
裏山と屋上に広がる、男女共用アウトドアサウナ

新設される「曼荼羅」は、敷地裏の森と建物の屋上を活用した有料・男女共用のアウトドアサウナエリア。水着やポンチョ着用を前提に、家族やパートナーと同じ空間を共有できる設計だ。
森に溶け込む「杜エリア」と、空へひらかれた「空エリア」。自然と人工の境界を曖昧にし、五感を解放することを目指している。
“曼荼羅”が示す、日本的サウナ思想

この場所が単なる新施設と異なるのは、思想が先にある点だ。
「曼荼羅」という名が象徴するのは、外側の刺激を削ぎ落とし、内面へと向かう構造。静けさ、余白、循環。日本的精神性をサウナ体験に重ねる試みは、消費型ブームの次章を感じさせる。
目的地になるサウナという、新しい旅の理由
観光地ではない多治見だからこそ成立する“何もしない贅沢”。
ここへ行くために旅をする──そんな動機を生むサウナが、日本にまたひとつ増えようとしている。サウナは、ただ汗を流す場所ではなく、価値観を整える場所へ。
『施設概要』
【施設名】SAUNA&SPA 天光の湯(てんこうのゆ)
※天光の湯は2023年10月にリニューアルし、サウナ/水風呂/外気浴を大幅強化しました。今後も「ととのい難民ゼロ」を目標に、施設を進化させていきます。
【所在地】岐阜県多治見市大畑町6-105-1
【開業日】2006年6月
【URL】https://tenko-spa.jp/
【Instagram】@tenko_spa






