希少疾患向け“個別治療”の承認制度へ、米FDAが新たな審査枠組みを提案

米食品医薬品局(FDA)は、希少疾患や治療が難しい病気の患者向けに、個別設計された医薬品や治療法を承認する新たな制度案を公表した。

この制度では、少数の患者でしか臨床試験ができない治療法でも承認を検討できる仕組みを想定している。遺伝子編集技術などの新しい医療技術も対象となる見込みだ。

従来制度では開発が進みにくかった希少疾患が、遺伝子治療など個別医療により進展

これまで新薬承認には多数の患者を対象とした臨床試験が必要とされてきた。

しかし、患者数が極めて少ない希少疾患では十分な試験が難しく、製薬企業にとって採算が合いにくい分野だった。

開発から承認まで10年以上かかる場合もあり、患者や研究者から制度見直しを求める声が続いていたが、近年になって遺伝子編集技術などを用いて患者ごとに異なる遺伝子異常を修正する治療研究が進行。

実際に2025年には、遺伝子編集技術CRISPRを用いて希少疾患の乳児を治療する試みも報告された。

こうした個別医療の進展が、新たな審査制度の検討を後押ししている。

「合理的な作用メカニズム」が承認の条件

新制度では、治療が病気の原因となる遺伝子や細胞異常に作用する合理的な根拠があることが重要な条件となる。さらに、実際に患者の生物学的異常に作用したことを確認する必要がある。

現在も治験段階の薬剤を例外的に使用できる制度はあるが、手続きが複雑で商業化が認められていない点が課題とされてきた。

新制度では承認された治療の販売も可能になる見通しだ。

個別化医療の普及につながる可能性も

制度案は今後60日間の意見募集を経て最終化される予定だ。実現すれば、従来の枠組みでは難しかった個別治療の実用化が進む可能性がある。

希少疾患治療の選択肢拡大につながる一方、安全性や審査の透明性をどう確保するかが今後の課題となりそうだ。

Top image: © iStock.com / Sean Anthony Eddy
TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。