企業がお米で農家を支える。お米の福利厚生「NeweZ田んぼオーナー制度」

企業の福利厚生が、日本の農業が抱える問題の解決に繋がるかもしれない。

千葉県に拠点を置く一社が提案するユニークな仕組みは、従業員の満足度向上と社会貢献を両立させる新しい選択肢として、静かな注目を集めているようだ。

企業が田んぼのオーナーに。従業員と農家、双方に利益をもたらす仕組み

その注目の中心にあるのが、NeweZ株式会社が提供する『NeweZ田んぼオーナー制度』。

これは、企業が田んぼのオーナーとなり、農家を直接支援する新しい形の福利厚生サービス。この契約により、農家は収穫前から安定した収入の見込みが立ち、安心して米作りに専念できるという。

一方、オーナーとなった企業は、収穫されたお米を従業員への贈り物としたり、取引先へのPRツールとして活用したりすることが可能。

従業員は美味しいお米を受け取り、企業は社会貢献活動をアピールできる。そして農家は安心して農業を続けられるという、三方良しの関係性を目指した構想だ。

後継者不足や耕作放棄地問題に挑む“サス農”のビジョン

この制度が生まれた背景には、日本の農業が直面する深刻な課題がある。

農業従事者の高齢化や後継者不足、それによって増加する耕作放棄地の問題。NeweZは、こうした課題に対し“サス農”(Sustainable Agriculture Shipの造語)という理念を掲げ、持続可能な農業の実現に取り組んでいる。

この田んぼオーナー制度は、企業を農業の新たな担い手として巻き込むことで、農家の経営を安定させ、耕作放棄地の発生を防ぐ狙いだ。

企業の経済活動が、日本の食と環境を守る一助となる、SDGsの視点からも意義深い取り組みといえるのかもしれない。

福利厚生の選択が、未来の農業を支える一手に

福利厚生は、これまで従業員の働きやすさや満足度向上といった、社内向けの施策と捉えられがちだった。

しかし、この制度は、福利厚生という企業の選択が、地域社会や農業の未来を支える一票となり得る可能性を示唆する。自社の成長だけでなく、社会全体の持続可能性にどう貢献できるか。

企業のあり方が問われる今、このような取り組みは、新しい価値基準の一つになっていくのかもしれない。

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