糸魚川で史上初の「国産ラピスラズリ」発見

国立科学博物館は、新潟県糸魚川市で発見された青い石がラピスラズリであることを確認したと発表した。

青色から藍色の宝石として知られるラピスラズリが日本国内で産出した例はこれまでなく、今回が初の確認となる。

発見のきっかけは、地元で長年収集されていた岩石標本の中に含まれていた青い石だった。翡翠などとともに保管されていたこの石を分析した結果、化学組成とX線解析によってラピスラズリであることが判明した。

これまで国内では、類似する青色鉱物と誤認されたり、海外から持ち込まれたものと考えられたりしていた可能性があり、見逃されていた存在が改めて浮かび上がった形だ。

7000年の歴史を持つ宝石の常識に変化か

ラピスラズリは古代オリエントやギリシャ、ローマ、中国などで重宝され、日本でも正倉院宝物に見られるなど、7000年以上の歴史を持つ宝石として知られている。

これまで宝石品質のラピスラズリの主要産地は、アフガニスタン北東部にほぼ限定されるとされ、世界各地の遺跡から出土するラピスラズリも同地域由来と考えられてきた。

今回の発見は、この「産地が極めて限定される」という前提に揺らぎを与える可能性があり、鉱物学だけでなく考古学や交易史にも影響を及ぼす可能性がある。

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糸魚川特有の鉱物組成、未知の地質背景

今回確認されたラピスラズリは、主成分として藍方石(アユイン)や方ソーダ石(ソーダライト)を含む点で一般的な特徴を持ちながらも、共存する鉱物に独自性が見られる。

外国産では報告例のない鉱物の組み合わせが確認されており、接触交代変成作用によるスカルンに類似した地質環境で形成された可能性が指摘されている。

また、糸魚川といえば翡翠の産地として知られる地域であり、今回のラピスラズリも同様に蛇紋岩メランジュ中の岩塊として存在していたと推定されている。

こうした特徴は、単なる「産出例の追加」にとどまらず、日本列島の地質形成史を読み解く新たな手がかりにもなり得る。

見逃されてきた「青い石」も再確認すべきとの指摘も

糸魚川ではこれまでにも青い礫が確認されていたが、多くはデュモルティ石とされてきたが、今回の発見により、既存の標本の中にラピスラズリが含まれている可能性も指摘されている。

過去にも「糸魚川石」が長年別の鉱物と誤認されていた事例があり、今回も同様に再評価の動きが広がる可能性が高い。

河床や海岸は洪水や融雪によって環境が大きく変化するため、現地での再発見は容易ではないが、今後の継続的な調査によって新たな産出地点が明らかになることが期待されている。

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