25歳から始まる「ふたりの財布」。共同口座が映す、恋愛とお金の新しい距離感
株式会社スマートバンクが運営するAI家計管理アプリ「ワンバンク」のふたり用共同口座機能「ペアカード」が、サービス開始5周年を迎えました。同社が公開した最新データから浮かび上がるのは、「共同口座は結婚してから」という常識が、静かに書き換えられている風景です。
ボリュームゾーンは25歳、結婚の6年前

ペアカードの利用者は20代・30代が9割超。なかでも注目すべきは、20代の比率がリリース直後の54%から現在は約67%にまで上昇しているという点です。
ボリュームゾーンは25〜26歳。社会人3〜4年目にあたる世代です。厚生労働省の人口動態統計によれば、日本の初婚平均年齢は男性31.1歳、女性29.8歳。つまり、このサービスを最も使っている層は、結婚よりも数年手前にいる人たちということになります。
同棲を始めたばかりのカップルが、まだ婚姻届を出す前から「ふたりの財布」をつくっている——。少し前なら違和感があったかもしれないこの行動が、いまや多数派になりつつあるようです。
背景には、いくつかの社会的な地殻変動があります。経済産業省のデータによれば、キャッシュレス決済比率は2021年の32.5%から2025年には58%へと急伸。同じ期間に物価は約12%上昇し(総務省統計局 消費者物価指数)、共働き世帯は1,300万世帯に達しました。お金の流れがデジタルで可視化される時代に、物価高のなかで「なんとなく割り勘」を続けることへの居心地の悪さ。そんな感覚が、若いカップルを共同口座へと向かわせているのかもしれません。
コンビニとディズニーが同居する財布

ペアカードの決済データには、ふたりの暮らしのリアルがにじみ出ています。食品の1位はセブン-イレブン、外食はマクドナルド、生活用品はダイソー、住居関連はニトリ。華やかさとは無縁の、地に足のついたラインナップです。
一方で、デートシーンでは映画館、スターバックス、東京ディズニーリゾートが上位に。日常の食費と週末のおでかけが、ひとつの口座のなかで自然に共存しています。
直近半年の月次継続率は平均97%。前月に決済したペアが翌月もほぼ全員使い続けているという数字は、一度この仕組みに乗ると「元に戻れない」ことを物語っています。さらに興味深いのは、4年以上継続しているペアの3組に1組で、途中から産婦人科やベビー用品店への支出が現れていること。共同口座が、カップルの関係性の変化をそのまま映す「ふたりの年表」のようになっているわけです。
「野暮」だったお金の話が信頼になる

結婚式の準備に100万円規模の決済が行われた事例もあるといいます。目的別にお金を取り分けられる「ポケット機能」を使って、旅行や引っ越しといった人生の節目に向けた貯蓄を、ふたりで可視化しながら進めている。
かつて「お金の話をするのは野暮」とされていた恋愛関係のなかに、透明性という新しい信頼の形が入り込んできています。米国でもBank of Americaの調査が、若年層カップルが交際段階から財務の透明性を重視する傾向を報告しており、これは日本だけの現象ではなさそうです。
「愛情があればお金の話は後でいい」という考え方と、「お金の見える化こそが安心の土台」という考え方。どちらが正しいかではなく、後者を自然に選べる道具が手の中にある——それだけで、ふたりの関係の始め方は少し変わるのかもしれません。






