教室は、商店街と町工場。燕三条で始まる「まちまるごと学校」
不登校の子どもたちに向けたオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」が、2026年9月1日、新潟県燕市にリアル教室「燕三条校」を開校します。
驚くのは、その「校舎」のかたち。商店街、町工場、農地——まちそのものが教室になるというのです。

「学校の代わり」ではなく「まちへのアクセス権」

文部科学省の調査によると、2024年度の小中学校の不登校児童生徒数は約35万4,000人。12年連続で増加し、過去最多を更新しました。
中学生にいたっては、およそ15人に1人。もはや「特別なケース」とは言えない数字です。
それでも、とくに地方都市では学校以外の学びの選択肢が限られ、家庭が孤立しやすい現実があります。
燕三条校の運営を担うきら星株式会社の代表・伊藤綾さんは、こう語っています。「学校に行けないことは、社会とつながれないことではありません」。
この言葉が、この教室の設計思想をよく表しています。従来の不登校支援は「学校の代わりになる空間をつくる」という発想が主流でした。
でも燕三条校は、代わりの箱をつくるのではなく、すでにあるまちの中に子どもたちの居場所と役割を見つけようとしています。
商店街を歩き、工場で手を動かし、畑で土に触れる

燕三条といえば、金属加工を中心とした日本有数のものづくりの集積地。町工場、個人商店が並ぶ商店街、田畑や里山が車で数十分の圏内にぎゅっと詰まっています。
燕三条校では、一ノ木戸商店街や地域交流拠点「三(ミー)」、飲食店、図書館、空き家などを日常的に行き来しながら学びます。
刃物工場を見学してものづくりを体験したり、地元のマルシェに出店して新商品の開発に関わったり、農業体験や笹団子づくりに参加したり。
「体験学習」で終わらせないのがポイントです。地域の大人が先生になり、子どもたちがまちの中で実際の仕事や役割に触れる。いわば、まちの日常そのものがカリキュラムになっている。
同時に、NIJINアカデミーが全国で展開するオンライン授業(月100コマ以上)も受けられるハイブリッド型で、在籍校での出席認定にも対応しています。自分のペースでリアルとオンラインを組み合わせられる設計です。
「教室の外」にこそ、学びの回路がある

NIJINアカデミーは2023年9月に開校し、全国で累計900名超(2026年7月時点)の子どもたちが学んでいます。校長の星野達郎さんは「学校に行けなくなった瞬間に教育の質が保証されなくなる仕組みを、地域とともに変えていきます」と述べています。
15人に1人という数字を前にして、私たちはつい「学校をどう変えるか」を考えがちです。
でも、もしかしたら問いの立て方自体を変える必要があるのかもしれません。学校の中に子どもを戻すのではなく、学校の外にある社会との接点を増やすこと。
商店街を歩く子どもの足取りが、その答えのひとつになるかどうか。燕三条の秋が、小さな実験の始まりです。
NIJINアカデミー燕三条校
【開校日】2026年9月1日
【対象】小学1年生〜中学3年生(不登校・その傾向のある子ども)
【拠点】KaNaU(イオン県央店3階)ほか一ノ木戸商店街等の地域拠点
【開校記念体験会】2026年9月12日(土)
【公式サイト】NIJINアカデミー






