物価高なのに食費は減少。「子育て世帯の食卓」で起きていること
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2026年7月30日に発表した「食と生活」実態調査の結果が、静かに、しかし確実に胸に刺さります。経済的に困難な子育て世帯の子ども約1.5万人を対象にした過去最多規模の調査が映し出したのは、制度の「光」と家計の「影」が同時に存在する、2026年夏の食卓の風景でした。
物価は上がったのに食費は減った
削れる先が「食」しか残っていない

今回の調査で、回答した約8,700世帯の1人1日あたりの食費平均は500円を下回りました。
コンビニのおにぎり2〜3個分。自分の昨日の食事を思い返してみると、その数字がどれほどタイトか、感覚的にわかるのではないでしょうか。
しかも驚くのは、物価が上がり続けているにもかかわらず、すべての世帯人数で前年の調査よりも食費が「減っている」という事実です。
値上げラッシュのなかで食費が減るということは、食べる量や質を削っているということにほかなりません。約9割の世帯が「十分な食料を買うお金がない」と答え、6割以上が家計は赤字。借金で生活をつないでいる世帯は26.2%にのぼります。
削れるところが、もう「食」しか残っていない──そんな切迫感が、数字の向こうに透けて見えます。
給食がない夏休み、届く35品目の箱

2026年4月、学校給食費の抜本的な負担軽減、いわゆる「給食無償化」がスタートしました。半数以上の世帯がこの制度を肯定的に受け止めています。
ただし、約3割が「給食の量や質が下がるのでは」と不安を感じていることも見逃せません。
そしてもうひとつ、この調査が浮き彫りにしたのは、給食がカバーしない時間帯の問題です。夏休みや冬休みといった長期休暇中、学校給食という「セーフティネット」は機能しません。
セーブ・ザ・チルドレンが届ける「子どもの食 応援ボックス」は、まさにその空白を埋める取り組みで、2025年までにのべ4万7,109世帯に食料品を届けてきました。米5kgや乾麺、麦茶など約35品目が詰まった箱は、夏休みの食卓をつなぐ命綱です。
「手当が増えたら?」の答えは
塾でも習い事でもなく「食料品」

調査では「児童手当が月1万円増えたら何に使うか」という問いも投げかけられました。最多は「食料品の購入量を増やす」で54.9%。塾や習い事ではなく、まず「食べること」なのです。
さらに15%超の世帯が「借金返済や滞納分の支払い」と回答しています。手当の増額が、未来への投資ではなく、今日を生き延びるための補填になる現実がそこにあります。
給食無償化は大きな一歩でした。でも、子どもが「365日」安心して食べられるかどうかは、学校の制度だけでは完結しません。
私たちの多くは、今日のランチに500円以上を使っているはずです。その感覚を持ったまま、この数字をもう一度見つめてみる。それだけで、「食べること」をめぐる議論の景色が、少し変わるのではないでしょうか。






