物価高の影響を示す「カレーライス物価指数」が今、とんでもないことに……

カレーライス物価指数」という統計が取られていることを、アナタはご存じだろうか?

これ、じつは「株式会社帝国データバンク」が公表しているもので、カレーライス1食分に必要な食材と水道光熱費から算出された、由緒正しい数値。炊き、炒め、煮込みの調理工程を網羅しつくるカレーライスは、言ってしまえば物価の変動とその影響を測る最善の目安というわけだ。

カレーライスの単価
過去最高額に……

数値算出に使用するのはごく一般的なカレーのための食材たち。ニンジン、じゃがいも、玉ねぎ、輸入牛肉、米(コシヒカリ)、市販のカレールー、そして食用油。これらを6食分調理したときの食材費と、電気、ガス、水道水代を加味して算出される。

電気代は、炊飯器でごはんを炊いたのち6時間保温することを想定しているが、食材や食器の洗浄に使う水道代、下水道代は含まれない。

さて、食糧品を中心に歯止めの効かない値上げのなか、今年6月時点でのカレーライス1食あたりの価格は329円と、2023年6月の299円から30円上昇し、過去最高値を更新した。下図の細かな数値を見ていくと、水道光熱費は横ばいだが、とくに米とカレーの具材が大きく値上がり。米は近年、価格が安定していたものの、ついに物価高の波にのまれたかたちだ。

©株式会社帝国データバンク

もっと細かいスパンでの推移を見ると、昨年7月までは200円台だった単価は、同8月に300円を突破。以降11ヵ月連続での300円超えを示している。このまま上がり続けたら日本の家庭からカレーが消えてしまう可能性も……そんな心配もよぎるだろう。

ただ、そこは楽観視できるかもしれない。

農林水産省が今年7月末に発表した8月分の野菜価格動向で、カレーの野菜御三家(じゃがいも、ニンジン、玉ねぎ)はともに「平年並みで推移」とされた。輸入牛肉は当面の間は上昇局面が予想されるが、現在不足が懸念される米については新米が流通し始めれば、流れも変わってくるだろう。

物価変動を見る一つの指数として、「家で作るカレーライス」の価格を参考にしてみてもいいかもしれない。

Top image: © iStock.com/karimitsu
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