羽田空港に「読める電話ボックス」登場。電話の150年、その先へ

黒電話、プッシュホン、ショルダーフォン──電話の進化をたどる年表の、いちばん端。そこに「声を読む電話」が並んだら、どう見えるでしょうか。

2026年9月21日から24日までの4日間、羽田空港第1ターミナルに「読める電話ボックス」が出現します。日本財団電話リレーサービスが手がける体験イベントで、参加は無料・予約不要です。

壁一枚が隔てる、
「聞く電話」と「読む電話」

羽田空港マーケットプレイスに設置された読める電話ボックスと、通話内容がリアルタイムで文字化される様子を映す案内パネル
© 一般財団法人日本財団電話リレーサービス

会場の構成がユニークです。一枚の壁を挟んで、片側には1876年の電話発明から約150年の歴史をたどる展示。もう片側には、通話相手の声をリアルタイムで文字に変換するアプリ「ヨメテル」を使える電話ボックスが置かれています。

ボックスの中から電話をかけると、実際の電話回線を通じて壁の向こうの音声電話につながります。相手の声は文字になって手元に届き、その様子は脇の大画面にも映し出される仕組み。

体験者だけでなく、一緒に来た人や通りがかりの人も「声が読める瞬間」を目撃できます。

ここが面白いのは、声を閉じ込めるための装置だった電話ボックスが、通話を周囲にも「見せる」装置にひっくり返っていること。電話の歴史展示と背中合わせに置くことで、ヨメテルが「聞こえにくい人のための特別な道具」ではなく、「電話という技術の次の進化」として自然に見えてくるのです。

「豆腐」と「甲府」、
聞き間違いを自分の耳で知る

もうひとつ、体験の入り口に仕掛けがあります。参加者はまず「聞き間違いが起きやすい言葉」を散りばめたお題くじを引いてから受話器を取ります。「豆腐」と「甲府」のように、音が似ている言葉を電話越しに正しく伝えられるか──。

これ、やってみると想像以上に難しいはずです。日本補聴器工業会の調査(JapanTrak 2018)によれば、国内には約1,400万人、およそ10人に1人に何らかの聞こえにくさがあるとされています。

でも「10人に1人」と数字で言われるより、自分の耳で「あれ、聞き取れない」と感じる瞬間のほうが、ずっと実感として残るのではないでしょうか。

「配慮」ではなく
「進化」として届ける設計

1878年の電報機や黒電話、ショルダーフォンなど日本の電話の歴史を年表とともに展示した壁面
© 一般財団法人日本財団電話リレーサービス

ヨメテルは、通話相手の声を音声と文字の両方で受け取れる電話アプリです。24時間365日使え、緊急通報もできます。身体障害者手帳の有無は問いません。「電話で相手の声が聞こえにくいことがある」と感じるすべての人が対象です。

法律に基づいて総務大臣の指定を受けた機関が提供する、れっきとした公共インフラでもあります。アメリカでは2000年代から同様の字幕付き電話サービスが広まっていて、日本では2025年1月にサービスが始まりました。

電話が発明されて約150年。「声を聞く」以外の選択肢が加わることは、誰かへの特別な配慮ではなく、コミュニケーションそのものの進化と言えるかもしれません。

敬老の日を含む4日間、空港という「出発と到着」の場所で、電話の「次の一行」に触れてみるのも悪くなさそうです。

「読める電話ボックス」

【会場】羽田空港第1ターミナル2F マーケットプレイス
【期間】2026年9月21日(月祝)〜24日(木)
【時間】10:30〜18:00
【参加費】無料・予約不要
【主催】一般財団法人日本財団電話リレーサービス
【後援】総務省(予定)
【公式サイト】ヨメテル

Top image: © 一般財団法人日本財団電話リレーサービス
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