ロッテが「ココヨム」を開発。触って商品情報の位置が分かるインクルーシブデザイン
スマートフォンの音声読み上げ機能を使えば、目が見えなくてもパッケージの文字を読める——。技術的にはそうなのですが、実はその手前に、もうひとつ大きな壁がありました。「カメラを、箱のどこにかざせばいいか分からない」という壁です。
ロッテが開発協力企業ミライロとともに発表した「ココヨム」は、その壁を驚くほどシンプルな方法で取り払おうとしています。
諦めていた「自分で選ぶ」を
取り戻すための溝
ココヨムのしくみは、拍子抜けするほど単純です。
紙箱パッケージの一面に、指で触ってすぐ分かる「四角い溝」をひとつ設ける。その溝の周辺に、商品名・賞味期限・アレルギー情報などをまとめて印刷する。それだけです。
視覚に障がいのある方は、溝を指先で見つけたら、その付近にスマホのカメラをかざすだけ。すでに多くの方が日常的に使っている音声読み上げアプリが、必要な情報を声で届けてくれます。
開発の出発点になったのは、当事者から寄せられた「自力で情報を得ることは諦めている。でも本当は自分で選びたい」という声だったそうです。
開発を率いたロッテ中央研究所の本村あかねさんは、着想から2年をかけてこのしくみを形にしました。
「特別な対応」ではないから
広がれる設計
ここで注目したいのは、ココヨムが「特別な技術も設備投資も追加コストも必要としない」という点です。
従来、パッケージのアクセシビリティといえば、点字シールを貼る、専用のデバイスを開発するなど、「特別な対応を上乗せする」発想が主流でした。しかしそのアプローチは、コストや手間がかかるぶん、対応できる商品が限られがちです。
ココヨムは逆の発想をとっています。すでにある技術(音声読み上げアプリ)と、すでにある素材(紙箱)の間に、溝というたった一つの「道しるべ」を置いただけ。
だからこそロッテは、自社だけでなく他企業にも広く導入を呼びかけ、業界共通のしくみにすることを目指しています。2030年までに共創の輪を広げ、2050年には世界中のパッケージへの導入を目標に掲げているとのこと。
「誰のため」の境界線が溶けていく
開発の過程で見えてきた意外な事実もあります。加齢で視力が落ちてきた方が、拡大鏡やアプリで商品情報を確認する際にも、溝が「ここを読めばいい」という手がかりになるのです。
私たちも、スーパーで小さな文字の賞味期限を探してパッケージをくるくる回した経験はないでしょうか。「情報がどこに書いてあるか分からない」という不便は、実は誰もがうっすら感じているものかもしれません。
たった一つの溝が、「障がい者のための特別な配慮」と「みんなの使いやすさ」の境界線を静かに溶かしていく。ココヨムが届けようとしているのは、お菓子だけではなさそうです。
ココヨムを導入した商品は、2026年9月より順次発売されます。
ココヨム導入商品
【新商品】
・プレミアムガーナ 濃厚ショコラ/2026年9月15日発売
・プレミアムガーナ ナッツショコラ<キャンディングヘーゼルナッツ>/2026年9月15日発売
・プレミアムガーナ フルーツショコラ<濃熟ブラッドオレンジ>/2026年10月13日発売(季節限定)
・プレミアムガーナ ティーショコラ<芳醇アールグレイ>/2026年10月13日発売(季節限定)
【既存商品】
・チョコパイ/2026年9月より順次切り替え
・カスタードケーキ/2026年9月29日リニューアル発売
【公式サイト】ロッテ ココヨム






