大好きな家に住んで、もっと幸せになるための「5つの心構え」

profile_keizo八納啓創株式会社川本建築設計事務所代表取締役。1級建築士。広島と東京を拠点に「快適で幸せな建築空間づくり」を専門にする建築家。設計活動を行う傍ら、全国的に講演活動や執筆活動を行っている。

「住まいが人を幸せにも不幸にもする」と聞くと、あなたはどう思いますか?私は1級建築士として、これまで家づくりの相談にのってきた方や、実際に設計させていただいた方などを通じて、このことを強く実感しています。幸せになるためには、自分が「大好きだ」と思える家に住むべきです。

今回は『住む人が幸せになる家のつくり方』より、ぜひ知っておいていただきたい心構えを紹介しましょう。

01.
「家を買う」ではなく
「建てる・持つ」という発想へ

A couple looking out of a window of their new home

イチから家を建てるのであれば「建てる」、そうではない場合でも「買う」ではなく「持つ」くらいの感覚にして、一度「買う」という意識を捨ててみてください。

「買う」という意識で家を手にいれると、何年か経った時に、もう飽きてしまう人がたくさんいます。これに対して「建てる」という言葉には、家族の形態やライフスタイルに合わせて、長く快適な生活を送るための知恵や工夫を盛り込み、土台から作り上げていく意味があります。

家は多くの人にとって人生最大の買い物です。所有することで満足してしまうのでは、あまりにもったいない。たとえ家をイチから設計するケースではなくても、そこでどんな楽しい暮らしができるのか、家族とどんな時間を過ごすのか、誰を招き、何を飾り、どんな夢を育てていくのか。その家で家族と共にどのように住みこなしていくのか。

家を探すときには、自分の思いを「建てる」気持ちで挑んでみましょう。

02.
「家賃よりローンのほうがいい」
って本当?

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実は、経済的なメリットを求めて家を購入した人ほど、ローンを含めた出費を負担に感じてしまう傾向にあります。経済的な動機というのは、ライフスタイルと直結しない無味乾燥なものです。最初からローンの支払いが第一優先になり、暮らしへのこだわりは置き去りにされてしまいます。

暮らしやすく快適な家、そしてライフスタイルにじっくり馴染んだ家に満足している人は、それに見合った住宅ローンを支払い続けることに、大きな不満は抱かないでしょう。

家を手に入れた人には、ぜひ住宅購入金額を払う労力を超える「人生の満足感」を感じてほしいと願っています。

03.
「まず土地を探す」のは
失敗のもと

家を建てようと決めた人の80%以上がやってしまいがちなのが、まず土地を探すこと。ですが、これをやってしまうと自分の思い通りの家は建ちにくくなってしまいます。

たとえば、予算が4,000万円だったとします。ここで先に2,500万円で土地を購入してしまったら、残りの1,500万円で家を建てなければなりません。すると、予算内に収まらないときには、何かを我慢しなければなりません。

焦って土地を先に買わずに、まずハウスメーカーや工務店、設計事務所などと徹底的に話し合うことから始めることで、ガラリと展開が変わります。「家族が幸せに暮らすために絶対に必要なものは何か」ということを突き詰めて、家の概略を先にまとめるのです。そこで「家にはどうしても2,500万円は必要」ということになれば、残りの1,500万円を土地の予算として、その範囲内で購入できるものを探していくのです。

家を建てるのですから、あくまでもメインは「家」です。くれぐれも先に土地を買ってしまって「家にかける予算がない!」などということは避けたいものです。

04.
大切なのは
30年後のライフスタイル

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どんなによく考えて建てた家でも、住んでみて初めて「ここをもっとこうすればよかった……」と思うことはあるでしょう。しかし家に不満が出てきてしまうのは、多くの場合「将来のライフスタイルに対応できる家づくりになっていないから」です。

5年後のことを考えて建てた家に10〜15年我慢して住み、生活の限界が来たところで建て替えを繰り返すならば、30年後を考えて建てた家で、家族の成長に合わせて少しずつリフォームしながら暮らしていくほうが、満足度は高いはずです。20年ほど先のライフスタイルに対応できる家づくりをして、家族が少なくなった30年後には、その家を人に貸して別の場所に住む、というプランも立てられます。

家族の変化に対応できるような「のりしろのある家」なら、住み続けることができるでしょう。

05.
15年経つと
資産価値がゼロに!?

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欧米では、家は不動産だと捉えられています。「日本でも家が不動産なのは常識じゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし「土地つきの家」ではなく建物のみについて考えると、実際には「耐久消費財」として扱われることが多いのです。

エアコンや冷蔵庫などの大型家電と同じで「10年から20年もてばいい」という考え方です。実際に15年も経つと資産価値がゼロになる家がほとんどです。欧米では実際に、築100年以上も経った家がたくさんあります。イギリスなどでは100年は当たり前。それでもまだ新しいほうです。そして古い家のほうが圧倒的に人気です。

日本人には不思議に感じられますが、家の位置付けや価値観が違えば、捉え方もこれだけ違ってくるのです。気象が異なれば気温や湿度も異なり、立地条件の差も確かにあります。しかし、日本の気候・風土をきちんと理解して建てた家というのは、環境が異なっても欧米と同じように長い歳月を耐えることができるのです。

住む人が幸せになる家のつくり方
コンテンツ提供元:サンマーク出版

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。