世界陸上で話題になった「白いヘルメット」。隠された機能がすごかった・・・
先日、熱狂のうちに幕を閉じた「世界陸上2015北京」。絶対王者ウサイン・ボルトの圧倒的な強さや、日本の超新星サニブラウン・ハキームの大健闘はまだまだ記憶に新しい。
そんな中、実力はもちろん、ビジュアル面でも世界に強烈なインパクトを残した選手がいる。男子10種競技の金メダリスト、アシュトン・イートンのことだ。
彼が休憩時に頭に装着したのは、ナイキと共同開発した「アイスハット」。まるで、中世の騎士のようなその風貌は、世界中で大きな反響を呼ぶことに。
そもそも、 10種競技はその名の通り、10の種目をニ日に渡って競うもの。短距離走、中距離走、長距離走、投てき、跳躍といったそれぞれ相反する身体能力が必要とされており、その勝者はキング・オブ・アスリートと称されるほどハードな競技だ。
だからこそ、競技の合間の時間で「いかに体力を回復させるか」は勝利への大きなテーマになるはず…、しかし、イートンは別の角度からこの点に言及した。
「競技を行うごとに、体は消耗していく。着目すべきは、体を万全の状態にすることよりも、精神面のケアを行い、二日間の競技で全力を出し切れるようにすることだ」
イートンとナイキの両者が、「精神面のケア」にフォーカスして議論を重ねた結果、「体温調節」が気分と大きく関わっているのではないかという結論にたどりついた。同時に、「顔」を冷やすことによって得られる効果の高さも明らかに。
こうして、内部に冷水を流し込み、顔や頭、首を効率的に冷却する「アイスハット」が誕生したのだ。
結果的に、今大会、イートンは自身が持っていた世界記録を更新する点数を叩き出し、見事に連覇を達成。ビジュアルだけではなく、その確かな実力もはっきりと世界に示してみせた。
「アイスハット」を被り、中世の騎士のような姿で次の種目に備える―。そうした新たなスタンダードが生まれる日は、案外遠くないのかもしれない。
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