工業系女子大生がデザインした、チョイ乗り専用「紙製ヘルメット」

旅先で“チョイ乗り”したいときに利用するサイクルシェアリングの普及率は、年々増加傾向にあります。最近では、自転車を持っている人と、借りたい人をマッチングさせるAirbnbの自転車版「Spinlister」なるものがアメリカでは人気だとか。

だけど、そのためにヘルメットを持参するのも面倒。レンタルは不衛生でサイズが合わないこともある。そこで、工学デザインを学ぶ女子大生が考えたのが、持ち運びに便利な紙製のヘルメットでした。ん、紙?

旅行に携行できる
軽くて丈夫な紙ヘルメット

自転車が生活に浸透している欧米の人たちでも、旅行先にわざわざヘルメットだけ持参する人がそういるとは思えません。かといって、自転車を借りるのに30ドル以上もするモノを買うのもバカらしい、と紙のヘルメット「EcoHelmet」の開発者、イシス・シファーさんは言います。

けれど、現にアメリカでは年間800人近いサイクリストが交通事故によって命を落としているという話。もちろん、そのすべてが旅行者という訳ではないでしょうが。

荷物を増やさず、折りたたみできて、しかも軽い素材。彼女は思い浮かんだアイデアを早速カタチにしていきました。 

強度抜群のハニカム構造
使い捨てもアリ

確かに紙を何重にも重ねれば、厚みが出て強度も増しますが、それだけではただ重いうえに事故や転倒の衝撃から頭部を守るには心もとない。

そこでイシスさんは、水をはじく特殊な紙をバナナのように頭のカタチに婉曲させ、これをハニカム構造にレイアウト。使う時は、アコーディオンと同じくじゃばら式で開閉する仕組みです。

イシスさんのアイデアに、イギリスの公立研究機関「インペリアル・カレッジ・ロンドン」が強度調査を受け入れてくれたそうです。これをイシスさんが「ラッキーだった」と表現するのは、、同機関はヨーロッパでの自転車事故によるヘルメット破損の度合いを測る、ビッグデータを保有していたから。

こうして完成したのが、軽く、かさばらず、100%リサイクルできるヘルメットEcoHelmet。これなら価格にして1つあたり、おおよそ5ドルほどで販売も見込めるそう。ちなみに、防水機能は約3時間ほど効果が見込めるんだとか。

技術やテクノロジーを抑え
“エコ”が最優秀賞を受賞

さて、こちらでShifferが握手をしている男性は、掃除機で有名なダイソン社の創業者であり、プロダクトデザイナーのジェームズ・ダイソン氏。なんと彼女のEcoHelmetが、「ジェームズ・ダイソン・アワード2016」で最優秀賞を受賞

次世代のデザインエンジニアを称え、支援する国際的なエンジニアリングアワードに、先進テクノロジーを駆使したプロダクトではなく、紙を素材に使ったヘルメットが選ばれたことにも大きな意味を感じてしまいます。もちろんその開発は、工業的アプローチや技術に裏打ちされたもの、ですけどね。

製品化はまだ先だそうですが、こういうアイテムが普及してくれるといいですね。

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TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。