あなたの職場にもいる “有毒社員”の特徴
アメリカ社会で、いま危険視されている「Toxic Worker」を知っていますか?直訳すれば“毒性のある社員”、つまりは同僚に悪影響を与える社員のこと。
彼らは仕事はできます。いや、むしろ優秀。けれど協調性がなくて周りの士気を下げる存在なんだとか。一体どうして?そして、企業にとって「害」になるって、どういうことでしょう。
生産性は高いが、自意識過剰
これが“有毒社員”の特徴
まずは、この“有毒社員”がどんな存在なのかに目を向けていきましょう。「ハーバード・ビジネス・スクール」で経営管理を研究するDylan Minor助教授と、エコノミストのMichael Housman氏は、異なる11の企業、約5万人を対象とした調査から、会社に不利益を与える社員の特徴を割り出しました。それが、有毒視される「生産性が高く、自意識過剰で自信に溢れているタイプ」です。
これだけ聞くと、逆に今の企業に求められている人材の典型のようにも聞こえますが…。現に、あなたの周辺にも、どんどん出世していくこの手の社員がいるのでは?
ところが、研究者によれば彼らは利己的で、他人を蹴落としてでも自分の出世や成功を掴みとろうとする人のこと。彼らの傍若無人ぶりが、結局周りの人間のやる気を削いでいくことになると定義します。
“有毒社員”の悪影響は
伝染するらしい
同僚にセクハラをしたり、盗みや詐欺を働くような人間だけが、会社に不利益を与えている訳ではない。と「Forbes」誌も研究者らの意見に賛同。“有毒社員”がいるだけで、周りの社員にも悪い影響が伝染していく可能性を示唆しています。
有毒社員を解雇すれば、
企業の利益は倍増する?
さて、今回の分析調査で明らかになったことがもうひとつ。有毒社員を雇い続けることによる、企業の損失です。
「USA Today」の記事に、雇用側も耳を傾けざるを得ないような内容が。曰く、上位1%の優秀な社員(ここで言うところの有毒社員)が企業にもたらす利益は、金額にしておよそ5,300ドル(約64万円)。一方、有毒社員を解雇することで、会社は推定12,490ドル(約150万円)の利益を、同じ期間で企業は得ることができるというのです。その差は2倍以上ーー。
有毒社員は、「職場環境を台無しにする」とHousman氏。彼らを避けることで、他社員の生産性が向上するという見方。つまり、有毒社員を避けることは、優秀な社員を見つけるよりも企業にとっては利益が高いという結論です。
優秀だけど毒と共存するか
毒を排して利益率を上げるか
たとえ有能であっても、何が何でも自分の主義主張を貫き通し、企業をのし上がっていく。そんなカッティングエッジとなる人材よりも、周りと同調でき他人に思いやりをもてる社員を優先する方が、結果として上手くいくとMinor助教授は推察します。
しかし、その一方で有毒社員のハイパフォーマンスに頼らざるを得ない現実も。そちらを優先する管理者も多く、ジレンマを抱えている様子をMinor助教授は「ナショナル・パブリック・ラジオ」のインタビューに答えています。
有毒の定義が、いささか曖昧で極論過ぎる気もしませんか?出る杭は確かに打たれる。でも、出すぎた杭は誰も打たなくなるはずですが…。
Reference:Forbes , USA TODAY, Financial Times , npr