澤穂希が教えてくれた「5つのコト」

2015年12月16日(水)、今シーズン限りでの現役引退を表明したINAC神戸レオネッサ所属の澤穂希。翌日に行われた会見には、女子サッカー界を牽引してきたレジェンドのエッセンスが、ふんだんに凝縮されていた。

言葉の端々から読み取れる彼女の“流儀”とは?今こそ、私たちが「生きる伝説」から学ぶべきタイミングだろう。

01.
悔いなく、
やりきることの重み

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「悔いなく、やりきった」

会見で、彼女はこの言葉を5度も繰り返した。そこに強がりは感じられない。24年間の現役生活を全力で駆け抜けた達成感がにじみ出ていた。

すべてのアスリートが、いつかは現役を退くことになる。その中で、自分の持てる力すべてを出しきり、“悔いなく”引退すると言い切れる選手が、果たしてどれだけいるだろうか?

2012年のロンドン五輪は銀メダルに終わった。そのリベンジを、2016年のリオデジャネイロ五輪で果たしかったという悔いはないか?という記者の質問に対しても「まったくないです」と言い切った。

02.
何よりも仲間を尊重

会見では、時折言葉を詰まらせるシーンも。

「チームメートの顔を見たり、思い出したり…。今まで苦しいときも一緒にやってきた仲間のことを思うと、胸がいっぱいになります」

その姿は、自分のキャリアが終わることよりも、これまで共に戦ってきた「家族のような仲間」とサッカーができなくなることに寂しさを覚えているように見えた。

24年もの間、現役生活を続けられた理由についても、「やはり仲間です。仲間がいなければサッカーはできないですし、自分自身のプレーを生かしてもらえない。つらいときはみんなが支えてくれて、楽しいときはみんなで笑った。本当に最高の仲間がいてくれたからこそ頑張れたサッカー人生でした」と力を込めた。成功の数々は、決して自分ひとりの力で勝ち取ったわけではないことを、彼女はよく理解している。

03.
どんなときも“常に100%”で

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女子日本代表、通称「なでしこジャパン」の指揮官である佐々木則夫は、引退に対してこのようなコメントを寄せた。

「長年、日本の女子サッカーをリードしてきて、代表でも数々のワールドカップや五輪に出場した偉大な選手。ここぞというときに点を取り、さまざまな戦いで勝利に導いてくれました。私自身が出会ったなかでも特別な選手です」

ここぞというときに結果を出すーー。その秘訣は、彼女のこんな発言に隠されているのではないだろうか。

「自分は練習でも100%でやってきた。練習で100%でできなければ、試合でもできないから。正直、練習で手を抜こうと思えば絶対に抜けると思います。でも、私はそういうのが嫌い」

04.
“結果”を出さなければ
意味がない

1993年、彼女は日本代表のユニフォームに初めて袖を通した。もちろん当時は、日本の女子サッカー界における黎明期だ。

それから18年後の2011年。ワールドカップドイツ大会で世界の頂点に立ったことで、なでしこジャパンを取り巻く環境は激変。あまりにも大きなその“振れ幅”を体感しているからこそ、彼女の言葉は説得力を伴ってこちらの耳に届く。

「やはり結果がすべて。本当に今の若い子は遠慮している部分が多いなとすごく感じます。のびのびやってほしい気持ちもありますが、やっぱり勝負、結果にこだわって、より一層頑張ってほしいと思います」

05.
“楽しむこと”こそが
成長の秘訣

Homare Sawa Feature - FIFA Women's World Cup 2015

とはいえ、“楽しむこと”だって忘れてはならない。

「ここまで何十年もやれるというのは、純粋にサッカーが大好きだったから。その思いだけです。サッカーが嫌いになったことは一度もないですね」

記者から「日本女子サッカーの魅力」を尋ねられたときの回答。そこにも、彼女たちの成長の秘訣が隠されている。

「純粋にみんながサッカーを大好きなところ。サッカーがうまくなりたくて、ひたむきに、最後まで諦めない。そういうところに魅力があるのかなと思います」

Top Photo by Mike Hewitt - FIFA/FIFA/Getty Images

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。