一流のメンタルトレーナーが、オリンピック選手に教えていること。
一流アスリートは、なぜ緊張して失敗してしまいそうな一回限りの本番で、考えられないような高いパフォーマンスを発揮することができるのでしょうか。それは肉体だけでなく、専門のコーチのもとで、心をコントロールするトレーニングを積んでいるからです。
人気ライターのAmy Morinさんは「Inc.」の記事で、オリンピックに出るような一流アスリートたちを担当する、メンタルトレーナーが選手に教える重要なテクニックを紹介しています。
01.
パフォーマンスが発揮できる
自分の「最高」の状態を知っておく
2012年ロンドン五輪で金メダルを取った競泳選手ケイティ・レデッキーは、ストレスコントロールに、禅の要素を取り入れています。「VOGUE」のインタビューでは「どんな状況でもゴールだけを見据えて心を落ち着けていれば緊張することはない」とも語っています。
レデッキー選手だけでなく、あらゆる一流アスリートは、競技中の感情が結果を左右することをよく心得ています。ただ、そのあり方は人によっても様々です。レデッキー選手のように心穏やかでいるほうが結果に繋がる選手もいれば、興奮して挑むことで、信じられないようなパワーを発揮する選手もいます。
重要なのは、自分の感情がどのような状態になっているのかをつねに把握し、コントロールすることです。まずは緊張するような大事な局面で、自分の感情がどのような状態かを意識してみましょう。そして、一番いい結果を出せているときはどんな気持ちになっているのかを観察し、次からはその精神状態に自分を持っていけばいいのです。
02.
頭を「空っぽ」にすることが
集中力を高めるポイント
競技の本番は、集中を邪魔する要素でいっぱいです。観客の声、ライバルの様子、そしてひょっとしたら金メダルが取れるかもしれないという期待…。しかし、こうした雑音に心を乱されていては、結果を出すことはできません。
一流のアスリートは「ゾーン」と呼ばれる状態に入るよう、トレーニングを積んでいます。これは無理やり集中しようと意識するのではなく、逆に頭を空っぽにすることで、適度にリラックスして、最大のパフォーマンスを発揮できる精神状態に入るテクニックです。
もしもあなたが重要な場面で緊張して気が散ってしまったら、無理に集中するのではなく、ゆっくりと深呼吸をして、一旦何も考えないようにしてみましょう。頭を空っぽにするのが難しければ、まったく関係のない別のことを考えても構いません。
力が入っていては、うまくいくものも失敗に終わってしまいます。リラックスすることが集中力を持続させるコツだということを覚えておきましょう。
03.
身体をコントロールすることで
精神もコントロールできる
カナダ・オタワ大学の研究によると、セルフコントロールの技術が高いアスリートほど、世界ランキングも高い傾向にあるそう。人間はストレスを受けると、心拍数の増加、血圧の増加、筋肉の緊張など、さまざまな反応を起こします。こうした反応を最低限に抑える技術が、パフォーマンスの向上と相関関係にあるというのです。
多くの一流アーティストは、さまざまなセンサーを身体に取り付け、自分の体がどのような状態なのかを把握し、コントロールするトレーニングを積んでいます。身体の状態と精神の状態は、密接に関わり合っています。身体の状態を整えることで、精神を落ち着けることができるのです。
ストレスを感じたとき、自分の呼吸や心拍が速くなっていないかを意識してみましょう。もし速くなっていたら、深呼吸をして、とにかく呼吸がゆっくりになるようにします。身体のペースが整えば、自然と精神も楽になっていることに気がつくでしょう。