意外と知らない「体脂肪」に関する5つの誤解

巷に溢れる、間違った体脂肪の落とし方。どれだけ体の歪みを整えても、エステやマッサージをしても、実際に脂肪を燃焼することはできないそうです。それはどうしてでしょうか?

その理由を、坂詰真二さんの著書『やってはいけないダイエット』より、ご紹介していきましょう。

01.
体脂肪が増える原因は
「体の歪み」らしい

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そもそも体脂肪が増える最大の原因は、食べ過ぎ。その次が運動不足。そして、食べ過ぎの背景にはストレスがあります。ですから、痩せるためには食べ過ぎと運動不足を改善し、それとともにストレスを解消することが不可欠です。

私は歪みという言葉は使いませんが、体が前後左右に傾いた悪い姿勢は改善すべきだと考えています。極端な悪い姿勢は、立ったり歩いたりという日常の動作で、腰や股関節、ひざなどに負担をかけて痛みや炎症を起こすからです。

その意味で、いわゆる歪みを修正することによって痛みから開放され、日常での運動量が増えた結果、ある程度体脂肪が減るということは言えるかもしれません。

02.
エステやマッサージは
脂肪燃焼に効果的!だよね?

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痩せたい部分を揉んだり擦ったりする「マッサージ型ダイエット」。外側からの物理的刺激で体脂肪が分解されたり消費されたりするなら、とても簡単で便利ですが、もちろんそんな都合いいことが起こるはずがありません。物理的な刺激で体脂肪が減るなら、椅子に座って圧迫され続けているおしりの脂肪はどんどんなくなっていくはずですから。

これも「整体型ダイエット」同様、危険性はありませんが、効果の出ないダイエットと言っていいでしょう。脂肪細胞の分解は、物理的刺激とは無関係で、体内のホルモンの指令によって化学的に引き起こされるもの。食事量が不足したり、運動を行うことで血糖値が低下すると、血糖上昇ホルモンが分泌されるのです。

「脂肪細胞を移動される」「リンパの流れをよくして老廃物を流すことで細くする」「セルライトを分解して痩せる」こんな宣伝文句がエステティックサロンの宣伝文句に使われることも。でも、マッサージなどによる物理的刺激では、脂肪細胞は決して移動はしません。

03.
エクササイズマシンって
結構効果が期待できそう!

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数年前に流行った、お腰に装着する電動ブルブルマシン。ほかにも電動式バイク、金魚運動マシンなど、機械が体を揺らしたり動かしたりする「受動運動ダイエット」には様々なものがありますが、残念ながらどれも体脂肪を減らす効果はありません。

受動運動マシンの動力で体を震わせたり運動させたりしたところで、人間の消費エネルギー量はまったく増えないのです。見かけ上は体が動いていても、エネルギーを消費するのは機械ですから増えるのは電気消費量のみ。心理的興奮や寒冷に対する防御といった例外はありますが、基本的に人間が自分の筋力を使って体を動かさない限り、エネルギー消費量、体脂肪の燃焼量が増えることなどありえないのです。

04.
ストレッチ、ラジオ体操、ヨガ
すべて組み合わせれば…

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ストレッチ、あるいはその原型であるヨガなどの「ストレッチ型ダイエット」も、直接的には体脂肪を減らす効果は期待できません。

ストレッチが悪いと言っているわけではありませんが、何もしないで1日寝ているよりは筋肉は使われますし、エネルギーも消費します。しかし、直接的なダイエット効果は…。あくまで“間接的な”効果があるという程度。それは、リラクゼーション効果です。楽な姿勢のまま、全身の筋肉ストレッチをすることで「心地よい」感覚が続けば、マッサージ同様に心理的な緊張も和らぐのです。

05.
“お通じ”の分だけ
体重も体脂肪も減る!?

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実際、成人の1回あたりのウンチの量は100〜200g程度しかありません。ですから、体重計に現れるほどの変化は見られないはずです。便が大腸にある間、大腸は便から水分を吸収していくので便は徐々に軽くなりますし、便秘だと(腹腔)の内圧が上がって胃腸が圧迫されるので、食欲と食事量が落ちます。3日分の便でも500gに満たない程度、仮に10日便通が滞ったとしてもせいぜい1kg程度でしょう。数キロ単位で体重が落ちる、というのは大袈裟だということが分かるはずです。

日常的に便秘に悩んでいるのであれば、自己判断せずに、医師による診断を受けて適切な治療、指導を受けることをおすすめします。もちろん、繰り返しになりますが、便秘を解消しても体脂肪が減るわけではありませんよ。

やってはいけないダイエット
コンテンツ提供元:光文社新書

坂詰真二/Shinji Sakazume

NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト、パーソナルトレーナー。株式会社ピープル(現コナミスポーツ&ライフ)でディレクター、教育担当を歴任後、株式会社スポーツプログラムスにてアスリートのコンディショニング指導を担当。1996年に「スポーツ&サイエンス」を設立。アスリートへの指導、スポーツ医療系専門学校の講師を勤めながら、雑誌『Tarzan』(マガジンハウス)をはじめ、多くのメディアで監修・出演している。

TABI LABO この世界は、もっと広いはずだ。