余白に価値を見出す北欧生まれの「和ソファ」
イタリアの家具ブランド「arflex(アルフレックス)」によるソファ。形から察するにカウチソファのように見えなくもない。おもしろいのはそのデザイン。日本の伝統的な様式美にインスパイアされたものだとか。
台座を鉢に見立てて
「盆栽の小宇宙」を表現
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床からの高さ数センチ、大小2つの台座ユニットで構成された、その名も「BONSAI」。丸く剪定された庭木とも苔ともとれるクッションが、贅沢にもちょこんと置かれている。
「なるほど、そういうことね」とは、まだ思わないでいただきたい。実のところ、この“ちょこん”にも、もう一つの伝統文化が息づいているから。
日本人の生活様式が欧米化していくなかで、僕たちが失っていったものに、ストックホルムの建築家ユニット「Claesson Koivisto Rune Architects」は目をつけ、北欧の中のNIPPONを内に秘めた。
デザイナーのラフスケッチにも、そのアイデンティティが見え隠れする。
洋のソファと「床の間」が融合
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台座にあしらわれた正方形の余白。「座る」というソファ本来の目的をあえてつぶし、設けたこれを北欧のデザイナーは「床の間」と表現する。
北欧家具のもつ「温かみ」や「心地よさ」に気づいた日本人、今や当たり前のように暮らしに浸透したその家具を生み出す国では、日本家屋の伝統に熱い視線を向けていた。
隣の芝生は青いということ?なんとも不思議な巡り合わせ。月並みな言葉だけどシンプル&モダンな空間にも、若草のにおいのする青畳の上にも、すーっと誰の暮らしの中にもとけ込んでいくような包容力を感じる。
組み合わせてつくる
自分だけの小宇宙
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本来、床の間の床面は“地”を表すもの。日本人の感覚からすれば花一輪を添えてみたり、陶磁器を置いてみたり。それこそ盆栽のように観葉植物を配すのもいい。自然素材から造形されたものであればどんなものでも。ただし、言うまでもなく倒してしまわないよう注意が必要。
捉えようによっては「もったいない」スペース。けれど、この余白を持たせそれを楽しむ価値観に、僕らより北欧の人たちのほうがシンパシーを感じているのかもしれない。
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腰掛2つのレイアウト次第で自分だけの小宇宙をつくる楽しみも。オプションも充実。フレームにフロアランプを増設したり、小フレームの追加もOKと拡張性も高い。
どうやら、アルフレックス・ジャパンでの取り扱いはないようだけど、プロダクト誕生の背景を知ると、なお自室に招いてみたくなる。